親から子へ土地や家を贈与するとき、「口約束だけで済ませてしまった」というケースは少なくありません。しかし不動産の贈与では、贈与契約書を作成しておかないと、贈与税の申告や名義変更(登記)の際に困ることがあります。この記事では、不動産の贈与契約書に必要な項目、雛形の内容、収入印紙の金額、自分で作る場合の注意点まで、まとめて解説します。
不動産の贈与契約書とは?なぜ必要なのか
贈与契約書とは、贈与する人(贈与者)と受け取る人(受贈者)の間で、「いつ・何を・誰に贈与するか」を書面で取り交わす契約書です。民法上、贈与は口頭でも成立しますが、不動産のような高額な財産の場合は書面化しておくことが強く推奨されます。
口約束だけではダメな理由
口頭だけの贈与は、まだ履行していない部分について、当事者がいつでも撤回できてしまいます(民法550条)。また、後になって「言った・言わない」のトラブルに発展するリスクもあります。
贈与契約書があると税務調査・名義変更で役立つ
贈与契約書は、贈与税の申告時に「いつ贈与が行われたか」を証明する資料になり、税務調査で名義預金(実質的な贈与ではないかと疑われること)を指摘されるリスクを下げます。また、法務局で名義変更(所有権移転登記)を行う際の登記原因証明情報としても使えます。
不動産贈与契約書に必ず書くべき5つの項目
不動産の贈与契約書には、最低限次の5つの項目を記載します。
①当事者(贈与者・受贈者)
贈与する人(贈与者)と受け取る人(受贈者)の氏名・住所を正確に記載します。
②贈与財産の特定(登記事項証明書どおりに記載)
贈与する不動産を、登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されているとおりの所在・地番・家屋番号・地目・面積で特定します。住所表示(住居表示)と地番は異なることが多いため、必ず登記事項証明書を取得して確認しましょう。共有持分のみを贈与する場合は、持分の割合も明記します。
③贈与日
契約を締結した日付を記載します。
④所有権移転日
実際に所有権が移転する日を記載します。契約日と同日にするケースが一般的です。
⑤受贈者の受諾の意思表示
贈与は「あげます」「もらいます」という双方の意思表示で成立する契約のため、受贈者が贈与を受け取る意思があることを明記し、双方が署名・押印します。
贈与契約書は自分で作れる?
「贈与契約書は自分で作れるのか」と調べる方は多く、実際にテンプレートを使えば自分で作成することも可能です。
自分で作る場合の書き方の流れ
①贈与する不動産の登記事項証明書を取得して情報を確認する、②上記5項目を盛り込んだ書面を作成する、③贈与者・受贈者それぞれが署名し実印を押印する、④収入印紙を貼付する、という流れが基本です。インターネット上には無料のひな形(Wordテンプレート)も多く公開されています。
自分で作る際に注意したいポイント
不動産の表示を誤ると、後の名義変更登記で法務局から補正を求められることがあります。また、負担付贈与(住宅ローンの残債を受贈者が引き継ぐ場合など)や、相続時精算課税制度を使う場合は、記載内容がより複雑になるため、司法書士や税理士に確認することをおすすめします。
収入印紙はいくら必要?
不動産の贈与契約書は一律200円
不動産を贈与する契約書は印紙税の課税対象です。売買契約書とは異なり、贈与契約書は「対価のない契約書」として扱われ、記載金額の有無にかかわらず一律200円の収入印紙を貼付します。
負担付贈与など金額を記載する場合の注意
受贈者が住宅ローンの残債務を引き継ぐ「負担付贈与」の場合など、契約書に金額(負担額)を記載する形式によっては印紙税の扱いが変わることがあります。不安な場合は税務署や税理士に確認しましょう。
土地の贈与契約書で気をつけたいポイント
土地のみを贈与する場合も、記載する内容は建物付きの不動産と同様に、登記事項証明書どおりの所在・地番・地目・地積を正確に記載する必要があります。私道の持分がある土地や、複数の筆に分かれている土地は、贈与する範囲を明確にしておかないと、後の名義変更で混乱するため注意が必要です。
贈与契約書のひな形(記載例のポイント)
| 記載項目 | 記載内容の例 |
|---|---|
| 贈与者 | 住所・氏名 |
| 受贈者 | 住所・氏名 |
| 不動産の表示 | 所在・地番・地目・地積(登記事項証明書のとおり) |
| 贈与日・移転日 | 令和◯年◯月◯日 |
| 署名・押印 | 贈与者・受贈者それぞれ実印を推奨 |
| 収入印紙 | 200円 |

贈与契約書を作ったあとにやるべきこと
贈与税の申告(基礎控除110万円)
受贈者には、1年間(1月1日〜12月31日)に受けた贈与の合計額から基礎控除110万円を差し引いた部分に贈与税がかかります。申告期限は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。
名義変更(登記)の手続き
贈与契約書を作成したら、法務局で所有権移転登記(名義変更)を行います。贈与契約書は登記原因証明情報として使うことができます。
税金の内訳(登録免許税2.0%・不動産取得税)
贈与による名義変更では、登録免許税(固定資産税評価額の2.0%)と、不動産取得税(原則4%、土地・住宅は令和9年3月31日まで3%)がかかります。詳しい費用の内訳は不動産の名義変更費用|相場と自分でやる方法でケース別に解説しています。
贈与契約書がない場合のリスク
贈与契約書を作らずに名義変更だけを行った場合、税務調査で「本当に贈与があったのか」を疑われ、名義預金(実質的な相続財産)と判断されるリスクがあります。また、将来の相続時に他の相続人との間で「言った・言わない」のトラブルに発展することもあるため、不動産の贈与を行う際は必ず書面を残しておきましょう。
茨城県で不動産の贈与・名義変更にお悩みならハウスドゥへ
ハウスドゥ茨城は、取手戸頭・守谷・つくば研究学園都市・県庁水戸の4店舗体制で、茨城県内の不動産売却・買取を専門にサポートしています。贈与を受けた不動産の将来的な売却相談や、提携する司法書士・税理士のご紹介も可能です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 贈与契約書は自分で作成しても法的に有効ですか?
はい、贈与契約書は公正証書でなくても、必要事項が記載され当事者が署名・押印していれば法的に有効です。ただし、内容に不備があると後のトラブルの原因になるため、不安な場合は司法書士に確認することをおすすめします。
Q2. 贈与契約書に実印は必須ですか?
法律上は実印でなくても契約は成立しますが、後の名義変更登記や税務調査での信頼性を高めるため、実印での押印と印鑑証明書の添付が推奨されます。
Q3. 収入印紙を貼らないとどうなりますか?
収入印紙を貼らなかった場合、契約自体が無効になるわけではありませんが、過怠税(本来の印紙税額の原則3倍)が課される可能性があります。
Q4. 土地の一部(持分)だけを贈与することはできますか?
可能です。その場合は贈与契約書に贈与する持分の割合を明確に記載する必要があります。
Q5. 贈与契約書はいつまでに作ればいいですか?
法律上の明確な期限はありませんが、贈与税の申告や名義変更登記に使うため、贈与を実行する時点までに作成し、実際の贈与日を正確に記載することが重要です。
まとめ
不動産の贈与契約書には、当事者・贈与財産の特定・贈与日・所有権移転日・受贈者の受諾の意思表示という5つの項目を記載し、200円の収入印紙を貼付します。自分で作成することも可能ですが、不動産の表示を誤ると名義変更登記でつまずくことがあるため、不安な場合は司法書士に相談すると安心です。贈与を受けた不動産の将来の売却や名義変更でお困りの際は、お気軽にハウスドゥ茨城へご相談ください。
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