中古住宅でも使える住宅ローン控除とは?2024年からの変更点も解説
中古住宅は新築に比べて費用を抑えられる魅力的な選択肢ですが、「税金の優遇は少ないのでは?」と考える方もいるでしょう。しかし、中古住宅の購入でも「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」という大きな節税メリットが受けられます。
住宅ローン控除は、年末のローン残高の0.7%を所得税や住民税から控除する制度で、家計の負担を大幅に軽減します。ただし、制度は年々改正されており、特に2024年からは省エネ性能が問われるなど、中古住宅の適用条件が大きく変わりました。
この記事では、住宅ローン控除の中古適用条件について、2024年からの変更点を含めて詳しく解説します。ご自身が対象になるか確認できるチェックリストも用意しましたので、ぜひご活用ください。
まずはセルフチェック!住宅ローン控除 中古の適用条件リスト
このリストで大まかな条件を確認し、詳細は本文で理解を深めていきましょう。
【物件に関する条件】
- □ 新耐震基準に適合している:1982年(昭和57年)1月1日以降の建築。それ以前は「耐震基準適合証明書」などが必要。
- □ 床面積が50㎡以上である:登記簿上の面積(マンションは内法面積)で判断。
- □ 2024年以降の入居は原則「省エネ基準」を満たしている:2024年1月以降の入居は現行の省エネ基準適合が原則(※経過措置あり)。
- □ 併用住宅の場合、居住部分が1/2以上である
- □ 生計を共にする親族などから購入した住宅ではない
【個人に関する条件】
- □ 合計所得金額が2,000万円以下である:控除を受ける年ごとに判定。
- □ 住宅ローンの返済期間が10年以上である:繰り上げ返済による期間短縮に注意。
- □ 物件の引き渡しから6ヶ月以内に入居している
- □ 控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住している
これらの条件を一つひとつクリアする必要があります。次項から、各条件を詳しく見ていきましょう。
そもそも住宅ローン控除(減税)とは?
住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用してマイホームを購入・新築・リフォームした場合に、**年末時点のローン残高の0.7%**を、所得税(引ききれない場合は一部住民税)から最大13年間(中古住宅は一般的に10年間)控除する制度です。
例えば、年末のローン残高が3,000万円なら、その0.7%にあたる21万円が税金から差し引かれます。これは家計の負担を大きく軽減するため、マイホーム購入における重要なポイントです。
2024年からの大きな変更点「省エネ基準」が必須に
中古住宅の住宅ローン控除で、2024年から最も注意すべき変更点が**「省エネ基準への適合」**です。
2023年までは、省エネ基準を満たさない一般的な中古住宅も控除対象でした。しかし、国の政策方針により、2024年1月1日以降に入居する住宅は、原則として現行の省エネ基準(断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上)に適合することが必須条件となりました。
これにより、これまで対象だった物件が2024年以降は対象外となる可能性があるため、物件選びでの省エネ性能の確認が不可欠です。
ただし、経過措置として、2023年12月31日までに建築確認を受けている中古住宅については、控除を受ける年の合計所得金額が1,000万円以下の場合に限り、省エネ基準を満たしていなくても借入限度額2,000万円(控除期間10年)で控除の対象となります。
中古住宅特有の「築年数要件」は撤廃、新耐震基準がカギに
かつて中古住宅には「木造は築20年以内、マンションは築25年以内」という厳しい築年数要件がありました。
しかし、2022年の税制改正でこの築年数要件は撤廃され、代わりに**「1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された住宅であること」**という条件が設けられました。これは建築基準法の「新耐震基準」が導入された時期を基準としており、建物の安全性が確保されていれば、築年数が古くても控除の対象となるという考え方です。
1981年以前の旧耐震基準の物件でも、「耐震基準適合証明書」などを取得すれば、控除を受けられる道は残されています。
【基本】住宅ローン控除の適用条件(個人編)
物件の条件の前に、まずクリアすべき「人」に関する基本的な適用条件を整理します。これは新築・中古を問わず共通するルールです。
合計所得金額が2,000万円以下であること
控除を受けようとする年の合計所得金額が2,000万円以下である必要があります。「年収」ではなく「合計所得金額」(給与収入から給与所得控除などを差し引いた後の金額)である点に注意してください。
この所得要件は各年ごとに判定されます。控除期間中に所得が2,000万円を超えた年は、その年だけ控除が適用されません。この所得上限は2022年に3,000万円から引き下げられました。
住宅ローンの返済期間が10年以上であること
控除の対象となるのは、返済期間が10年以上の住宅ローンであることが必須です。
注意点は、繰り上げ返済による期間短縮です。例えば、当初20年でローンを組んでも、繰り上げ返済によって返済期間が10年未満になると、その年以降は控除を受けられなくなります。控除期間中は、返済期間が10年を下回らないよう計画的に行いましょう。
控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住していること
住宅ローン控除は「自身が住むための家」が対象です。住宅の取得日から6ヶ月以内に入居し、控除を受ける各年の12月31日まで引き続きその家に住んでいる必要があります。生活の本拠地として実際に居住していることが求められ、賃貸や別荘利用は対象外です。
転勤などやむを得ない事情で一時的に住めなくなった場合でも、一定の要件を満たせば控除が継続・再開できる特例もあります。
その他の主な要件
- 居住用財産の譲渡特例などとの併用は不可:自宅を売却して利益が出て「3,000万円の特別控除」などを使った場合、その年と前後2年間は、新たに購入した家の住宅ローン控除は適用できません。どちらが有利か事前にシミュレーションが必要です。
- 親族などからの購入ではないこと:生計を共にする親族や配偶者など、特別な関係者から住宅を購入した場合は対象外となります。
これらの「人」に関する条件は、中古住宅の適用条件を考える上での大前提となります。

【重要】中古住宅ならではの物件に関する適用条件
次に、中古住宅の購入で最も重要かつ複雑な「物件」に関する適用条件を解説します。特に2022年度の税制改正で大きく変わった耐震基準が鍵となります。
最重要ポイント:築年数要件は撤廃、新耐震基準への適合が必須に
かつて中古住宅の控除適用を妨げていた「木造築20年以内、マンション築25年以内」という築年数要件は、2022年度の税制改正で完全に撤廃されました。
築年数に代わる新たな必須条件として定められたのが、以下の基準です。
【新たな必須条件】 1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された住宅であること(=新耐震基準に適合している住宅)
建物の登記簿謄本で建築日付がこの基準を満たしていれば、原則として控除の対象です。
では、1981年以前に建てられた旧耐震基準の物件は対象外かというと、そうではありません。次のいずれかの方法で「現行の耐震基準に適合している」ことを証明すれば、控除の対象となります。
新耐震基準への適合を証明する3つの方法
旧耐震基準の物件を購入する場合、住宅ローン控除の適用には客観的な証明書類が必要です。主な証明方法は以下の3つです。
1. 耐震基準適合証明書
建築士などが、建物が最新の耐震基準を満たしていることを証明する書類です。
- 取得方法:売主の協力のもと、建築士などに耐震診断を依頼します。基準を満たしていない場合は、耐震改修工事が必要です。
- 費用感:診断と証明書発行で5万円~15万円程度が目安。改修工事費は別途かかります。
- 注意点:証明書は原則として物件の引き渡し日までに取得する必要があります。購入を決めた段階で、売主や不動産会社に相談し、早めに手続きを進めましょう。
2. 既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)
第三者機関が住宅性能を評価した書類で、この評価書において**「耐震等級(倒壊等防止)」が1、2、または3と評価**されていれば、新耐震基準適合の証明として認められます。
- 取得方法:登録住宅性能評価機関に評価を申請します。
- 費用感:10万円前後からが目安です。
- 注意点:取得に時間がかかるため、早めの手配が必要です。耐震性以外の性能も評価されており、物件選びの安心材料にもなります。
3. 既存住宅売買瑕疵(かし)保険への加入
購入した中古住宅の欠陥を補修する費用を補償する保険です。この保険に加入するには、専門家による現場検査に合格する必要があり、この保険に加入できた事実が建物の基準適合の証明となります。
- 取得方法:売主または買主が、指定の保険法人に申し込み、検査を受けます。
- 費用感:検査と保険料で5万円~10万円程度が目安です。
- 注意点:耐震性だけでなく、建物の基本的な欠陥もチェックできるため、購入後のトラブルに備えられるメリットがあります。
これらの証明には費用と時間がかかります。中古住宅を検討する際は、築年数を確認し、必要であればこれらの証明が取得可能か、売買契約前に不動産会社を通じて必ず確認しましょう。
いくら戻ってくる?中古住宅の性能で変わる控除額と計算シミュレーション
適用条件をクリアした上で、次に気になるのは「いくら税金が戻ってくるのか」でしょう。控除額は購入する中古住宅の性能によって大きく変動します。
住宅ローン控除額の基本計算と性能別の借入限度額
毎年の控除額は、以下の計算式で算出されます。
毎年の控除額 = 年末時点の住宅ローン残高 × 0.7%
ただし、控除額には「借入限度額」と「自身の納税額」という上限があります。特に2024年以降は、中古住宅の省エネ性能によって「借入限度額」が大きく異なります。
| 住宅の種類(環境性能) | 借入限度額 | 年間の最大控除額 | 10年間の最大控除額 |
|---|---|---|---|
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 3,000万円 | 21万円 | 210万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 2,500万円 | 17.5万円 | 175万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 14万円 | 140万円 |
| その他の住宅(上記以外) | 2,000万円 | 14万円 | 140万円 |
| ※2024年・2025年に入居する場合。 | |||
| ※「その他の住宅」は、2023年12月31日以前に建築確認を受けた中古住宅の場合、借入限度額2,000万円で適用可能。 |
最も性能の高い住宅と一般的な中古住宅では、10年間で最大70万円もの差がつく可能性があります。物件探しの際は、性能の違いが将来の節税額に直結することを意識しましょう。
【ケース別】控除額の計算シミュレーション
実際の控除額は、「ローン残高×0.7%」「住宅性能による上限額」「自身の納税額」の3つのうち、最も低い金額が適用されます。
ケース1:一般的な中古住宅(省エネ基準適合)を購入した場合
- 年収:500万円(所得税:約13万円)
- 住宅ローン借入額:2,500万円(1年目の年末残高:約2,450万円)
- 住宅の性能:省エネ基準適合住宅
- ローン残高からの計算:2,450万円 × 0.7% = 17.15万円
- 性能による上限:省エネ基準適合住宅の最大控除額は14万円
- 納税額との比較:所得税は13万円
このケースでは、まず①が②の上限14万円を超えているため、控除額は14万円となります。次に、この14万円を納税額から控除します。
- 所得税13万円が全額控除されます。
- 残り1万円は住民税から控除されます。
結果:この年の控除額は、上限の14万円となります。

ケース2:高性能な中古住宅(認定長期優良住宅)を購入した場合
- 年収:700万円(所得税:約30万円)
- 住宅ローン借入額:3,500万円(1年目の年末残高:約3,440万円)
- 住宅の性能:認定長期優良住宅
- ローン残高からの計算:3,440万円 × 0.7% = 24.08万円
- 性能による上限:認定長期優良住宅の最大控除額は21万円
- 納税額との比較:所得税は約30万円
このケースでは、①が②の上限21万円を超えているため、控除額は21万円です。この21万円は所得税額30万円の範囲内なので、全額が所得税から控除されます。
結果:この年の控除額は、上限の21万円となります。
ご自身の納税額と、検討中の物件の省エネ性能を確認し、資金計画を立てることが重要です。
【手続き】中古住宅で住宅ローン控除を受ける流れと必要書類
住宅ローン控除を受けるには、ご自身で手続きを行う必要があります。特に初年度は、会社員でも必ず確定申告が必要です。
STEP1:物件の売買契約から入居、書類の準備へ
手続きは物件の売買契約時から始まっています。後々の確定申告で必要になるため、以下の書類は大切に保管しましょう。
- 不動産売買契約書
- 金銭消費貸借契約書(住宅ローン契約書)
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 源泉徴収票(年末に勤務先から)
- 住宅ローンの年末残高等証明書(秋頃に金融機関から)
物件購入の各段階で受け取る書類を一つのファイルにまとめておくと便利です。
STEP2:初年度は必ず「確定申告」を行う
控除を受ける最初の年(入居した翌年)は、ご自身で税務署へ確定申告を行う必要があります。期間は原則として毎年2月16日から3月15日までです。還付申告は1月から提出可能ですが、忘れないうちに期間内に済ませましょう。申告は税務署への持参、郵送のほか、自宅からできる電子申告(e-Tax)が便利です。
STEP3:2年目以降は会社の「年末調整」で完結
初年度の確定申告を済ませれば、2年目以降の手続きは簡単です。給与所得者(会社員など)は、勤務先の年末調整だけで手続きが完了します。
初年度の申告後、税務署から残りの控除期間分の**「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」**がまとめて郵送されます。2年目以降は、この「控除証明書」と、金融機関から毎年送られる「住宅ローンの年末残高等証明書」を勤務先に提出するだけです。
【チェックリスト】初年度の確定申告で必要な主な書類
- 確定申告書
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 本人確認書類の写し(マイナンバーカードなど)
- 源泉徴収票(給与所得者の場合)
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
- 家屋・土地の登記事項証明書
- 不動産売買契約書の写し
- 【該当する場合】中古住宅の適用条件を満たすことを証明する書類
- 耐震基準適合証明書、既存住宅性能評価書、または既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書のいずれか。
これらの書類を事前に準備し、スムーズに手続きを進めましょう。
中古住宅の住宅ローン控除に関するQ&A
ここでは、細かな疑問や見落としがちな注意点についてQ&A形式で解説します。
Q. 購入した中古住宅をリフォームした場合、費用も控除の対象になりますか?
A. はい、一定の条件を満たせばリフォーム費用も控除対象に含められます。
中古住宅の購入と同時に行うリフォーム費用も、住宅ローンに含めることで控除対象とすることが可能です。増改築や省エネ改修など、税法で定められた特定の工事が対象で、工事費が100万円を超えるなどの条件があります。住宅の取得から6ヶ月以内に工事を完了し、居住を開始する必要があります。
Q. 親や親族から中古住宅を購入した場合でも、住宅ローン控除は適用されますか?

A. いいえ、原則として親族からの購入は対象外です。
生計を同一にする親族や配偶者、特別な関係にある人物から住宅を取得した場合は、住宅ローン控除は適用されません。これは、身内間の形式的な売買による不当な税還付を防ぐための措置です。
Q. 夫婦のペアローンなど、共有名義の場合はどうなりますか?
A. 共有名義の場合、夫婦それぞれが自身の負担分に応じて控除を受けられます。
ペアローンなどを利用して共有名義で登記した場合、それぞれの持分とローン負担額に応じて、各自が住宅ローン控除を申請できます。物件全体の年末ローン残高に各自の持分割合を掛け、その金額を基に控除額を計算します。手続きは各自で行う必要があります。
Q. 住宅ローン控除の期間中に繰り上げ返済をしても大丈夫ですか?
A. 可能ですが、返済期間が10年未満にならないよう注意が必要です。
繰り上げ返済自体は問題ありません。しかし、「期間短縮型」の繰り上げ返済によって、当初の契約からの返済期間が10年未満になると、その時点で住宅ローン控除の対象から外れてしまいます。控除を受け続けるメリットと比較し、返済期間が10年を下回らないよう計画的に行いましょう。
まとめ:中古住宅の住宅ローン控除を最大限活用する3つのポイント
住宅ローン控除を最大限に活用し、後悔しない中古住宅選びを実現するための重要なポイントを改めて確認しましょう。
1. 物件選びの段階で適用条件を確認する
控除活用の成否は、ローン契約前、**「物件探しの段階」**で決まります。住宅ローン控除の中古適用条件の中でも、特に以下の2点は重要です。
- 耐震性能の確認:1982年1月1日以降に建築された「新耐震基準」適合物件が基本です。それ以前の物件でも「耐震基準適合証明書」などを取得できれば対象となりますが、取得には時間と費用がかかるため、物件探しの初期段階で不動産会社に確認することが極めて重要です。
- 省エネ性能の確認:2024年からの制度改正で、「省エネ性能」が控除額を決定づける重要要素となりました。省エネ性能が高い住宅ほど借入限度額が大きくなり、総節税額に大きな差が生まれます。これは節税だけでなく、入居後の光熱費削減や快適な暮らしにも直結します。
2. スムーズな申請のために事前準備を怠らない
控除を受ける初年度は、自身で確定申告が必要です。売買契約書や登記事項証明書といった基本書類に加え、中古住宅ならではの「耐震基準適合証明書」や省エネ性能を証明する書類など、取得に時間がかかるものも少なくありません。必要な書類を事前にリストアップし、計画的に収集を進めましょう。
3. 不明点は不動産会社などの専門家に相談する
住宅ローン控除の制度は複雑で、毎年のように改正されます。疑問や不安があれば、一人で抱え込まず専門家へ相談しましょう。特に、中古住宅の売買実績が豊富な不動産会社は、物件の専門家であると同時に、関連制度にも精通しています。物件探しの段階から控除の適用可否を判断し、必要な書類の取得をサポートしてくれるでしょう。
住宅ローン控除は、中古住宅購入の経済的負担を大きく軽減する強力な味方です。物件選びの段階から耐震性・省エネ性能を意識し、必要書類を早めに準備することで、制度のメリットを最大限に享受しましょう。




