- 古家付き土地 売却の3つの選択肢と判断基準
- 【方法1】古家付き土地のまま売却するメリット・デメリット
- メリット1:解体費用がかからず、初期投資を抑えられる
- 【方法2】建物を解体して更地で売却するメリット・デメリット
- 1. 買い手のターゲット層が格段に広がる
- 2. 土地本来の価値を正しく評価してもらえる
- 3. 契約不適合責任のリスクを完全に回避できる
- 解体すべき?古家付き土地 売却の方法を決める5つの判断基準
- そもそも「古家」とは?何年経ったら古家扱いになるのか
- 更地にすると固定資産税が上がります(ここが最大の落とし穴)
- 買主が住宅ローンを組めるかどうかで、売れ方が変わります
- 契約不適合責任と「現況有姿」の扱い
- 解体費用の目安(構造別)
- 税金の特例|使えるかどうかで手取りが数百万円変わります
- 茨城県で古家付き土地を売るときの実情
- 判断に迷ったら、両方の数字を出してから決めてください
- 古家付き土地と中古住宅(中古戸建)は何が違うのか
- 古家付き土地の価格は3つのパターンで決まります
- 古家の解体費用は誰が払う? 契約の3パターン
- 古家付き土地の売却の流れ|7ステップと必要書類・期間
- 売却前にやっておくべき5つの準備
- 古家付き土地の売却にかかる費用と税金(正確な計算式)
- 古家付き土地の売却に消費税はかかりますか
- 仲介と買取、古家付き土地はどちらが向いているか
- 古家付き土地の売却に関するよくある質問
- 相続した古家で最も多い落とし穴|「取得費が分からない」と税金が数百万円変わります
古家付き土地 売却の3つの選択肢と判断基準
古家付き土地の売却を検討する際、「この古い家はどうすべきか?」「解体した方が高く売れるのか?」といった疑問や不安が浮かぶのではないでしょうか。
古家付き土地 売却には、主に3つの選択肢があります。どの選択肢を選ぶかで、手元に残る金額、売却期間、手間が大きく変わるため、最初に全体像を把握することが後悔しないための重要な第一歩です。
この記事では、古家付き土地 売却における代表的な3つの方法と、ご自身の状況に合った選択肢を見つけるための判断基準を分かりやすく解説します。まずは、以下の比較表で3つの方法の概要を掴んでください。
【比較表】古家付き土地 売却の3つの方法
| 売却方法 | メリット | デメリット | 費用の目安 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|---|
| ① 古家のまま売る | ・解体やリフォームの費用がかからない ・手間が少なく、すぐに売却活動を始められる ・買主によっては古家の活用を望む場合がある |
・売却価格が安くなる傾向がある ・建物の状態が悪いと買主が見つかりにくい ・契約不適合責任のリスクがある |
仲介手数料など | 3ヶ月~6ヶ月 |
| ② 更地にして売る | ・土地として売りやすくなる ・買主の購入後のプランが広がる ・建物の管理責任がなくなる |
・解体費用(100万円~)がかかる ・解体期間が必要になる ・固定資産税が最大6倍になる可能性がある |
解体費用+仲介手数料など | 4ヶ月~8ヶ月 |
| ③ リフォームして売る | ・付加価値がつき、高く売れる可能性がある ・買主が購入後の生活をイメージしやすい ・物件の印象が格段に良くなる |
・リフォーム費用(数百万円~)がかかる ・費用を回収できないリスクがある ・手間と時間が最もかかる |
リフォーム費用+仲介手数料など | 6ヶ月~1年以上 |
表の通り、どの方法にも一長一短があります。ご自身の希望(費用、手間、売却価格)によって最適な選択は変わります。ここからは、各選択肢を詳しく見ていきます。
選択肢1:古家付き土地のまま売却する【現状有姿売買】
最もシンプルで、多くの方が最初に検討する方法です。建物の解体やリフォームをせず、現在の状態(現状有姿)のまま買主に引き渡します。
最大のメリットは、売主側の金銭的・時間的な負担が最も少ない点です。解体費用などの先行投資が不要なため、「売却に費用をかけたくない」「早く現金化したい」という方に向いています。ただし、買主が解体費用などを負担するため、その分売却価格は安くなる傾向があります。
選択肢2:建物を解体して更地で売却する
建物を解体し、何もない「更地」の状態で土地を売却する方法です。買主は購入後すぐに希望の建物を建てられるため、特に住宅用地を探している層に魅力的です。
立地が良ければ、古家が残っている状態よりも高値でスムーズに売却できる可能性が高まります。また、売却後に建物の不具合に関する責任(契約不適合責任)を問われる心配もありません。一方で、百万円単位の解体費用が自己負担となり、建物の解体によって固定資産税が最大6倍になるリスクも考慮しなければなりません。
選択肢3:リフォーム・リノベーションして売却する
建物にリフォームなどを施し、付加価値を高めてから売却する方法です。古民家としての魅力がある場合や、構造がしっかりしている場合に有効です。
内装などを新しくすることで物件の印象が良くなり、3つの選択肢の中で**最も高値での売却が期待できます。**しかし、高額なリフォーム費用を売却価格に上乗せして回収できる保証はなく、ハイリスク・ハイリターンな方法です。専門的な知識と緻密な販売戦略が求められます。
最適な売却方法を見つけるために
最適な古家付き土地 売却の方法は、以下の3つの要素を総合的に考慮して判断します。
- 物件の状態(建物の築年数、傷み具合など)
- 土地の立地(駅からの距離、周辺環境など)
- あなたの状況(売却にかけられる費用・時間・手間など)
これからのセクションで、各売却方法のメリット・デメリット、費用、税金などを詳しく掘り下げていきます。後悔のない古家付き土地 売却を実現するために、まずはこの3つの選択肢の全体像をしっかり把握しましょう。
【方法1】古家付き土地のまま売却するメリット・デメリット
古家付き土地 売却において最も手間と初期費用を抑えられるのが、建物を解体せず『古家付き土地』としてそのまま売却する方法です。「とにかく早く手放したい」「売却にお金をかけたくない」という方には現実的な選択肢ですが、手軽さの裏にあるデメリットも理解しておく必要があります。

メリット1:解体費用がかからず、初期投資を抑えられる
最大のメリットは、数百万円にもなる可能性がある建物の解体費用が一切かからない点です。
建物の解体費用は、一般的な木造住宅で「坪単価4万円~5万円」が目安です。30坪の木造住宅なら120万円~150万円の費用が必要になります。さらに、アスベストが使用されている場合は、除去作業で数十万円以上の追加費用が発生することもあります。
「古家付き土地としてそのまま売却」すれば、こうした高額な初期費用が不要です。手元に資金がない方や、先行投資を避けたい方にとって、この古家付き土地 売却方法は大きなアドバンテージです。
メリット2:固定資産税・都市計画税の優遇措置が継続される
住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、税負担が大幅に軽減されています。
- 固定資産税: 課税標準額が 最大1/6 に軽減
- 都市計画税: 課税標準額が 最大1/3 に軽減
建物を解体して更地にするとこの特例が適用されなくなり、翌年からの税額が最大で6倍に跳ね上がる可能性があります。古家付きのまま売却活動を行えば、売買契約が成立するまでこの優遇措置が継続されるため、余計な税負担のリスクを回避できます。
デメリット1:買主のターゲットが限定されやすい
手軽な反面、古家付き土地は買主のターゲットが限定されやすいというデメリットがあります。
「土地を購入して新築したい」と考える買主にとって、古家は解体費用がかかる「負債」と見なされがちです。そのため、更地を探している買主からは敬遠されたり、解体費用分の大幅な値引きを要求されたりします。
一方で、以下のような層は古家付き土地を積極的に探します。
- 購入費用を抑え、DIYやリフォームを楽しみたい若年層
- レトロな雰囲気を活かし、店舗などに改装したい事業者
- リフォームして賃貸物件として活用したい不動産投資家
このように買主のニーズが限定されるため、買い手が見つかるまでに時間がかかる可能性があることは、この古家付き土地 売却方法を選ぶ上で理解しておくべき点です。
デメリット2:契約不適合責任を問われるリスクがある
古家付き土地 売却で最も注意すべき点が「契約不適合責任」です。これは、売買した物件に契約書に記載のない不具合(雨漏り、シロアリ被害、給排水管の故障など)が見つかった場合に、売主が買主に対して負う責任です。
買主は、不具合を知った時から1年以内であれば、売主に対して修理や代金減額などを求めることができます。古い建物では、売主自身も気づいていない不具合が存在する可能性は低くありません。対策として、事前に専門家による建物状況調査(ホームインスペクション)を実施したり、契約書に「契約不適合責任を免責する」特約を盛り込んだりする方法があります。
【結論】「そのまま売却」が向いているケース
以上の点を踏まえると、「そのまま売却」という古家付き土地 売却の方法は、特に以下のような物件におすすめです。
- 築年数が比較的浅く、建物の状態が良い物件 (例:築20年未満で、小規模な修繕で居住可能)
- リフォームやリノベーションの素材として魅力がある物件 (例:デザイン性の高い古民家、個性的な間取り)
- 建物の価値は低くても、土地の立地条件が非常に良い物件 (例:駅近、商業施設の近くなど、土地そのものに強い需要がある場合)
「費用や手間をかけずに売却したい」という希望を優先するのか、物件の特性と合わせてじっくり検討することが重要です。
【方法2】建物を解体して更地で売却するメリット・デメリット
「多少コストがかかっても、より良い条件で古家付き土地 売却を成功させたい」と考える場合、建物を解体し「更地」として売却する方法が有力です。土地の価値を最大限に引き出す可能性がある一方、見過ごせないデメリットも存在します。
更地で売却する3つのメリット
建物を解体して更地にすると、古家が持つマイナス要因がなくなり、古家付き土地 売却において多くの利点が生まれます。

1. 買い手のターゲット層が格段に広がる
最大のメリットは、購入を検討する買い手の層が大幅に広がることです。更地であれば土地の使い方は自由なため、注文住宅を建てたい個人から、建売用地を探すハウスメーカー、アパート建設を計画するデベロッパー、駐車場や店舗用地を探す法人まで、多様な目的を持つ買主が検討対象となります。これにより買い手が見つかりやすくなり、売却のチャンスが増加します。
2. 土地本来の価値を正しく評価してもらえる
古家が残っていると、雨漏りや傾きといった建物の瑕疵(かし)が値下げ交渉の材料になります。また、買主が解体を前提とする場合でも、解体費用を見越して価格交渉されるのが一般的です。更地であれば、こうした建物起因のマイナス評価が一切なくなり、土地の広さ、形状、日当たりといった本質的な価値だけで純粋に評価してもらえます。これにより、正当な価格での取引がしやすくなります。
3. 契約不適合責任のリスクを完全に回避できる
売主にとって大きな不安要素である「契約不適合責任」。古い建物の場合、売主が把握していない不具合が売却後に発覚するリスクは常にあります。建物を解体してしまえば、この建物に関する契約不適合責任を問われる心配は一切なくなり、安心して取引を終えることができます。
要注意!更地で売却する2つのデメリット
魅力的なメリットがある一方、更地での古家付き土地 売却には金銭的な負担という大きなデメリットが伴います。
1. 高額な解体費用がかかる
最も大きなデメリットは、建物の解体費用です。費用は建物の構造や広さで変動しますが、相場は以下の通りです。
- 木造:坪単価 4万円 ~ 5万円
- 鉄骨造:坪単価 6万円 ~ 7万円
- 鉄筋コンクリート造(RC造):坪単価 7万円 ~ 8万円
30坪の木造住宅なら120万円~150万円程度の費用がかかります。この解体費用を売却価格に上乗せして回収できる見込みがなければ、手元に残るお金が減ってしまいます。
2. 固定資産税・都市計画税が最大6倍になる
税金のデメリットも見逃せません。土地の上に住宅が建っていると「住宅用地の特例」により税金が大幅に軽減されていますが、建物を解体して更地にするとこの特例の対象から外れます。その結果、翌年からの固定資産税・都市計画税が最大で6倍にまで跳ね上がってしまうのです。
固定資産税は、その年の1月1日時点の土地の状況で課税額が決まります。解体を決断する場合は、税額が上がる前に売却を完了させるという、迅速な売却戦略が不可欠です。
失敗しない解体業者の選び方
解体を決めた場合、信頼できる業者選びが重要です。
- 複数の業者から相見積もりを取る:必ず3社程度から見積もりを取り、費用や工事内容、対応を比較しましょう。
- 許認可を確認する:「建設業許可」または「解体工事業登録」がある正規の業者か確認してください。
- マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行:廃棄物が適正に処理されたことを証明する書類です。不法投棄のリスクを避けるため、発行を確約してくれる業者を選びましょう。
これらのメリット・デメリットを総合的に判断し、解体費用をかけてでも売却益が上回るかが、更地での古家付き土地 売却を選択する上での分かれ道となります。


解体すべき?古家付き土地 売却の方法を決める5つの判断基準
「この家、解体した方がいいのだろうか?」という、古家付き土地 売却における最大の悩みに対し、プロの視点から見た5つの重要な判断基準を解説します。これらの基準でご自身の物件を評価することで、後悔のない売却戦略を立てることができます。
①建物の状態と築年数
まず、建物そのものの状態が基本的な判断材料です。買主がその建物を「利用できる」かどうかが大きな分かれ道となります。
解体を検討すべきケース
- 構造的な欠陥がある: 雨漏り、シロアリ被害、建物の傾きなど、大規模な修繕が必要な場合。
- 著しく老朽化している: 内外装の傷みが激しく、居住には大幅なリフォームが必要な状態。
- 旧耐震基準の建物: 1981年(昭和56年)5月31日以前の建築確認で建てられた建物は、住宅ローン控除が使えないなど買主のデメリットが大きく、建物価値はほぼないと見なされます。
-
そのまま売却を検討すべきケース
- 築年数が比較的浅い(築20年未満など): 建物に資産価値が残っている可能性があります。
- リフォーム・リノベーション済み: 近年リフォームされており、買主が少しの手直しで住める状態。
- 古民家としての価値がある: 伝統的な工法や趣のあるデザインなど、特定の層に響く付加価値がある場合。
②土地の立地と周辺環境
次に「土地」そのものに目を向けます。土地のポテンシャルが高いほど、更地での売却が有利になる傾向があります。
解体を検討すべきケース
- 都心部や駅近など利便性が高いエリア: 土地自体の需要が高く、買主は自由に注文住宅を建てたいと考えます。古家は新築プランの邪魔になる可能性があります。
- 商業地や人気の住宅街: 周辺に新築が多いエリアでは、更地の方が土地を探している人の目に留まりやすくなります。
-
そのまま売却を検討すべきケース
- 郊外や地方都市: 新築需要より、手頃な価格の中古住宅を探している層が多いエリア。
- 再建築不可物件: 法律上の理由(接道義務など)で、一度解体すると家を建てられない土地。この場合は絶対に解体してはいけません。「古家付き」であることが売却の必須条件です。
③エリアの市場需要
そのエリアで「どのような物件が求められているか」という市場ニーズの把握も重要です。
- 更地需要が高いエリア: 新しい分譲地がすぐに売れるような、土地開発が活発なエリアです。
- 中古住宅需要が高いエリア: 若い世代に人気のエリアで、中古住宅をリノベーションして住みたいという需要が高い場所です。
周辺で更地と中古住宅のどちらが多く取引されているか調査することで、効果的な売却方法が見えてきます。
④売主様の資金状況
解体には決して安くない費用がかかります。木造家屋の場合、解体費用の相場は30坪で120万円~180万円ほどです。この費用を自己資金で用意できるかどうかが大きな判断基準となります。資金的な余裕がない場合は、無理に解体せず「古家付き土地」として売却活動を始めるのが現実的です。
⑤税金の特例は適用できるか?
節税効果の大きい特例の適用可否が、売却方法を決定づけることもあります。特に注目すべきなのが**「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」**、通称「空き家の3,000万円特別控除」です。
これは、相続した空き家の売却益から最大3,000万円を控除できる非常に強力な制度ですが、適用には以下の要件があります。
**【
そもそも「古家」とは?何年経ったら古家扱いになるのか
「古家(ふるや)」に法律上の定義はありません。実務では、建物としての市場価値がほとんど残っていない住宅を指して使われます。目安になるのが法定耐用年数で、木造住宅は22年です。これを大きく超えると、査定上の建物評価はほぼゼロに近づき、価格は土地の値段が中心になります。
不動産広告で「古家付き土地」と表記されるのは、売主が「建物に価値はありません」という前提で売り出しているという意思表示でもあります。買主は建物を使うか壊すかを自分で決められる、という売り方です。
更地にすると固定資産税が上がります(ここが最大の落とし穴)
「古い家は壊してから売ったほうがきれいだろう」と考えて、先に解体してしまう方がいらっしゃいます。ここには税金の落とし穴があります。
住宅用地の特例が外れます
住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準を軽減する住宅用地の特例が適用されます。200㎡以下の部分(小規模住宅用地)は6分の1、それを超える部分(一般住宅用地)は3分の1に軽減されます。都市計画税にも同様の軽減があります。
建物を取り壊して更地にすると、この特例が外れ、翌年度の固定資産税が大きく上がります。判定は1月1日時点の状況で行われるため、年内に解体して年をまたぐと、翌年度から負担が増えることになります。
だから「売れる見込みが立ってから壊す」が基本です
解体してすぐ売れれば影響は小さいのですが、更地にしたまま1年、2年と売れ残ると、解体費用に加えて税負担まで積み上がります。まず古家付きのまま売りに出し、買主が「解体して使いたい」と言えば解体条件で調整する。これが損の少ない進め方です。
買主が住宅ローンを組めるかどうかで、売れ方が変わります
古家付き土地でよく問題になるのが、買主側の資金調達です。金融機関によっては、老朽化した建物が残っている状態では担保評価が下がり、融資額が伸びないことがあります。
この場合、「解体を条件とする売買契約」にして、決済前後に解体するという段取りで解決できることがあります。誰がいつ費用を負担するかを契約で明確にしておくのがポイントです。現金で購入する買主(不動産会社を含む)であれば、この問題は起きません。
契約不適合責任と「現況有姿」の扱い
古家付きで売る場合、必ず整理しておきたいのが売主の責任範囲です。
雨漏り・シロアリ・給排水の不具合は、後から問題になりやすい
引き渡し後に不具合が見つかると、売主は契約不適合責任を問われる可能性があります。古い建物ほどリスクは高くなります。
「現況有姿」「契約不適合責任免責」の特約
そこで古家付き土地の取引では、建物については現況のまま引き渡し、契約不適合責任を負わないという特約を付けるのが一般的です。ただし、売主が知っていながら告げなかった事実については、免責特約があっても責任を免れません。雨漏りや傾きを認識しているなら、隠さず伝えたうえで価格に反映させるのが結果的に安全です。
解体費用の目安(構造別)
解体するかどうかを判断するには、費用の見当がついていないと比べられません。本体工事の坪単価の目安は次のとおりです。
| 構造 | 坪単価の目安 | 30坪の目安 |
|---|---|---|
| 木造 | 3〜4万円/坪 | 90〜120万円 |
| 軽量鉄骨造 | 3.5〜5万円/坪 | 105〜150万円 |
| 鉄筋コンクリート造 | 5〜8万円/坪 | 150〜240万円 |
特に注意が必要なのがアスベストです。解体前の石綿事前調査は法律で義務づけられており、含有が判明すると除去費用が別途かかります。古い建物ほど可能性は高くなります。また、掘って初めて分かる地中埋設物(以前の建物の基礎、浄化槽、井戸など)も追加費用の原因になります。契約前に「出た場合の取り扱い」を確認してください。
税金の特例|使えるかどうかで手取りが数百万円変わります
相続した空き家の3,000万円特別控除
相続した家を売る場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。主な要件は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、相続開始の直前に被相続人が一人で居住していたこと、そして耐震基準を満たすか、家屋を取り壊して売ることです。
つまりこの特例を使う場合は「解体して売る」ことが選択肢になります。先ほど「解体は後回しが基本」と申し上げましたが、この特例が使えるケースは判断が変わります。適用期限や要件は改正されるため、必ず税理士にご確認ください。
取得費加算の特例
相続税を納めた方が、相続税の申告期限の翌日以後3年以内に売却すると、相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡所得を圧縮できます。
譲渡所得税の税率
売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えれば長期譲渡所得で20.315%、5年以下なら短期譲渡所得で39.63%です。相続した不動産は、被相続人の所有期間を引き継げます。
茨城県で古家付き土地を売るときの実情
県南・TX沿線・常磐線沿線
土地としての需要があるため、古家付きのままでも買主が付きやすいエリアです。建売業者や、土地を探している個人が候補になります。
県央・県北・郊外
敷地が広く、母屋のほかに納屋や車庫、庭石があるケースが多い地域です。これらの撤去費用まで含めると解体費が膨らむため、「現況のまま買い取ってもらう」ほうが手取りが多くなることがあります。更地にしてから売れ残るリスクを避けられるのも利点です。
市街化調整区域・再建築不可の場合
解体してしまうと再建築できず、土地の使い道が大きく狭まることがあります。このケースで先に壊すのは危険です。必ず建物を残したまま、都市計画上の扱いを確認してからご判断ください。
判断に迷ったら、両方の数字を出してから決めてください
ハウスドゥは茨城県内に4店舗(つくば研究学園都市・県庁水戸・取手戸頭・守谷)を展開しています。
古家付き土地については、①古家付きのまま仲介で売り出した場合の想定価格、②当社が現況のまま買い取る場合の価格、③解体して更地にした場合の想定価格と解体費用——この3つを並べてお出しできます。解体費用も含めた手取りで比べていただければ、答えは自然に出ます。
査定は無料で、査定を受けたからといって売却する義務はありません。解体してしまうと元に戻せませんので、その前にご相談ください。
▶あわせて読みたい:茨城県の不動産売却・買取|ハウスドゥ
空き家や相続でお悩みの方は空き家を放置するリスクと売却の進め方もあわせてご覧ください。
古家付き土地と中古住宅(中古戸建)は何が違うのか
同じ「築年数の古い家が建っている物件」でも、広告で「古家付き土地」と表示するか「中古戸建」と表示するかで、集まる買主がまったく変わります。ここを取り違えたまま売り出して反響が出ない、というご相談は茨城県内でも少なくありません。
売り出し表示による違い(比較表)
| 比べる点 | 古家付き土地 | 中古戸建(中古住宅) |
|---|---|---|
| 価格の内訳 | ほぼ土地代のみ。建物価格は0円〜数十万円として扱うことが多い | 土地代+建物代。建物にも価格をつける |
| 買主の想定 | 解体して新築を建てたい人、建築会社、不動産会社 | そのまま住みたい人、リフォームして住みたい人 |
| 建物の状態 | そのまま住むのは難しい前提。現況有姿が基本 | 住める状態であることが前提 |
| 契約不適合責任 | 建物について免責とする特約を付けやすい | 建物にも責任が及びやすい |
| 住宅ローン | 建物が古いと融資が付きにくい場合がある | 比較的組みやすい |
「何年経ったら古家か」に法律上の決まりはありません
よくいただくご質問ですが、「築○年から古家」という法律上の定義はありません。実務では、木造住宅の法定耐用年数である22年を大きく超え、建物としての市場価値がほとんど残っていない状態を古家として扱うことが多く、築30年、築40年を超えた木造住宅が目安になります。ただしこれはあくまで慣行で、手入れの状態やリフォーム歴によって判断は変わります。
なぜ古家付き土地は安く見えるのか
建物価格を0円として売り出すため、同じ立地の中古戸建より表示価格が低く見えます。ただし買主は解体費用を織り込んで購入判断をするため、実質的には「土地値マイナス解体費用」に近い水準になりやすいのが実情です。「安い」のではなく「解体費用の分だけ買主が値を引いている」と理解しておくと、価格交渉の場面で納得しやすくなります。
古家付き土地の価格は3つのパターンで決まります
古家付き土地の査定額は、建物をどう評価するかで大きく3通りに分かれます。ご自身の物件がどれに当たるかで、取るべき売り方が変わります。
パターン1:建物にまだ使用価値があるときの価格
雨漏りや傾きがなく、リフォームすれば住める状態であれば、土地値に建物分が数十万円〜数百万円上乗せされることがあります。この場合はあえて「古家付き土地」とせず、中古戸建として売り出したほうが手取りが増える可能性があります。
パターン2:取壊し前提の価格
最も多いのがこのパターンです。土地の評価額から解体費用相当額を差し引いた金額が目安になります。木造30坪であれば解体費は100万〜150万円程度が目安(茨城県内・付帯工事や残置物処分の有無で変動)で、その分が価格から引かれる形になります。
パターン3:開発素地としての価格
土地が広く、分割して複数区画にできる場合や、建築条件付きで販売できる立地の場合は、不動産会社や建築会社が「素地」として評価します。つくば市・守谷市・取手市などTX沿線や、水戸市の市街地では、この評価が最も高くなることがあります。個人の買主だけを探すより、事業者にも声をかけたほうが高く売れるケースです。
古家の解体費用は誰が払う? 契約の3パターン
ご相談で最も多い質問がこれです。法律上の決まりはなく、売買契約でどう取り決めるかがすべてです。実務では次の3パターンに整理できます。

更地渡しを選ぶときに注意すべき3点
売主が解体してから引き渡す「更地渡し」は買主に喜ばれますが、次の3点に注意してください。
- 解体費用を先に自己負担することになる——売買代金を受け取る前に工事代金を払う必要があります。
- 工期の分だけ引渡しが遅れる——木造30坪で解体そのものは2週間前後ですが、建設リサイクル法の届出(床面積80㎡以上の解体は着工の7日前まで)やアスベストの事前調査を含めると、1か月以上みておくのが安全です。
- 契約が白紙になったときのリスク——万一契約が解除されると、更地にした土地と支払済みの解体費だけが残ります。売買契約を結んでから解体に着手するのが鉄則です。
建物滅失登記は解体後1か月以内に
解体したら、建物滅失登記を1か月以内に申請する義務があります(不動産登記法57条)。怠ると10万円以下の過料の対象になり、登記簿に建物が残ったままだと土地の引渡しができません。ご自身でも申請できますが、土地家屋調査士に依頼すると4万〜5万円程度が目安です。
古家付き土地の売却の流れ|7ステップと必要書類・期間
はじめて売却される方向けに、ご相談から代金を受け取るまでの流れを整理します。古家付き土地の場合、通常の中古戸建より買主探しに時間がかかる傾向があり、全体で4〜8か月程度をみておくと安心です。
ステップ1:査定(1週間程度)
まず「古家付きのまま」「更地にした場合」の両方で価格を出します。この段階で解体費用の概算も同時に把握しておくことが、後の判断を楽にします。
ステップ2:必要書類をそろえる(1〜2週間)
登記識別情報(権利証)、固定資産税納税通知書、本人確認書類、実印と印鑑証明書、測量図・境界確認書、建築確認済証・検査済証(あれば)が基本です。古い家では建築確認済証が見つからないことが多く、その場合は市区町村で「建築計画概要書」を取得して代用します。
ステップ3:媒介契約を結ぶ(1日)
専属専任・専任・一般の3種類があります。古家付き土地のように買主が限られる物件では、業者間ネットワークにも積極的に流せる専任媒介が動きやすい傾向があります。
ステップ4:売却活動(1〜6か月)
ここが最も差が出る工程です。個人の買主だけでなく、建築会社・不動産会社にも同時に打診できるかで期間が変わります。
ステップ5:売買契約(1日)
手付金を受け取ります。契約書には契約不適合責任の免責範囲、解体費用の負担、境界明示の方法、残置物の扱いを明記します。
ステップ6:引渡し準備(1〜2か月)
残置物の処分、境界の確定測量、更地渡しの場合は解体工事を行います。
ステップ7:決済・引渡し(1日)
残代金を受け取り、所有権移転登記を行います。抵当権が残っている場合は同日に抹消します。
売却前にやっておくべき5つの準備
1. 境界を明示できる状態にする
土地取引では売主に境界明示義務があるのが通例です。境界標が見当たらない、隣地と越境がある、という状態のまま売り出すと、契約直前で話が止まります。確定測量には30万〜50万円程度、隣接所有者の立会いを含めて2〜3か月かかることがあるため、早めの着手が有効です。相続した土地や農地に隣接する土地では特に注意してください。
2. 残置物(ゴミ・家財)を処分する
家具・家電・仏壇などが残ったままだと、買主は「片付け費用がいくらかかるか読めない」と判断し、価格を大きく引かれます。処分費用の見積りを取ってから、自分で片付けるか、費用込みで買い取ってもらうかを比べてください。当社では残置物をそのままにした状態での買取にも対応しています。
3. 契約不適合責任の免責範囲を決めておく
古家付き土地では、建物について契約不適合責任を全部免責とする特約を付けるのが一般的です。ただし、売主が知っていて告げなかった不具合は免責特約があっても免責されません(民法572条)。雨漏り、シロアリ被害、傾き、給排水の不具合など、把握している点は必ず書面で伝えてください。隠したほうが結果的に高くつきます。
4. 再建築ができる土地かを確認する
都市計画区域内では、幅員4m以上の道路に2m以上接していないと建物を建てられません(接道義務)。再建築不可の土地は、解体してしまうと二度と建てられず、価値が大きく下がります。市街化調整区域の古家も同様で、建物を残したまま売ったほうが有利なケースがあります。壊す前に必ず確認してください。
5. アスベストの有無を意識しておく
2022年4月から、一定規模以上の解体・改修工事ではアスベストの事前調査結果の報告が義務となり、2023年10月からは有資格者による調査が必要になりました。使用が疑われるのは主に2006年以前の建物です。含有が判明すると除去費用が加算され、解体費が数十万円単位で上がることがあります。解体費の見積りを取る際は、この調査費用が含まれているかを確認してください。
古家付き土地の売却にかかる費用と税金(正確な計算式)
仲介手数料|速算式と、800万円以下の物件の特例
売買価格が400万円を超える場合の上限は「売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税」です。200万円超400万円以下は「4%+2万円+消費税」、200万円以下は「5%+消費税」となります。
古家付き土地では特に重要な点として、売買価格が800万円以下の物件(低廉な空家等)は、2024年7月1日から媒介報酬の上限が33万円(税込)まで認められています。地方の低額物件で不動産会社が動きやすくなるよう設けられた仕組みで、通常の速算式より高くなる場合があります。事前に説明と合意が必要な費用ですので、見積り時にご確認ください。
印紙税|軽減措置の適用額
売買契約書に貼る印紙税は、軽減措置により、契約金額100万円超500万円以下=1,000円、500万円超1,000万円以下=5,000円、1,000万円超5,000万円以下=10,000円です(軽減措置は2027年3月31日までに作成される契約書が対象)。
登記費用
抵当権抹消の登録免許税は不動産1個につき1,000円(土地と建物で2,000円)、司法書士報酬は1万〜2万円程度が目安です。所有権移転登記の費用は買主負担が慣行です。登記簿上の住所が現在の住所と違う場合は、先に住所変更登記が必要で、これがないと決済が進みません。引っ越しをされている方は早めにご確認ください。
譲渡所得税|所有期間で税率が倍近く変わります
計算式は「譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)」です。解体費用は譲渡費用に含められる場合があります(土地を売るために取り壊した場合)。
| 所有期間(売却した年の1月1日時点) | 区分 | 税率 |
|---|---|---|
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 39.63%(所得税30%+復興特別所得税+住民税9%) |
| 5年超 | 長期譲渡所得 | 20.315%(所得税15%+復興特別所得税+住民税5%) |
取得費が分からない場合は売却価格の5%を取得費とみなすため、税負担が重くなりがちです。相続した古家では、被相続人が購入したときの売買契約書が残っていないか、まず探してみてください。
使える可能性のある3つの特例
古家付き土地の売却では、次の特例が手取りを大きく左右します。どれも解体のタイミングと期限に条件があるため、壊す前に確認が必要です。
- マイホームの3,000万円特別控除——ご自身が住んでいた家であれば、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば適用できます。建物を取り壊した場合は、取壊しから1年以内の譲渡契約かつ、その間に土地を貸したりしていないことが条件です。
- 相続空き家の3,000万円特別控除——昭和56年5月31日以前に建築、区分所有建物でない、相続直前に被相続人が一人で住んでいた、相続時から譲渡時まで貸したり住んだりしていない、譲渡対価1億円以下、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡、といった要件があります。2024年1月1日以降の譲渡からは、買主が譲渡の翌年2月15日までに耐震改修または取壊しを行えばよいことになり、売主が引渡し前に壊す必要がなくなりました。なお相続人が3人以上の場合、控除額は1人あたり2,000万円になります。
- 取得費加算の特例——相続税を納めた方は、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売れば、納めた相続税の一部を取得費に加算できます。
※税制は改正されます。実際の適用可否は最終的に税務署または税理士にご確認ください。当社でも提携税理士のご紹介が可能です。
古家付き土地の売却に消費税はかかりますか
結論として、個人の方がご自宅や相続した実家を売る場合、消費税はかかりません。消費税は事業として行う取引に課されるもので、個人の生活用資産の売却は課税対象外だからです。
ただし押さえておきたい点が2つあります。ひとつは、土地は誰が売っても非課税だということ。もうひとつは、売主が法人や個人事業者の場合は建物部分にのみ消費税がかかることです。古家付き土地では建物価格を0円として契約することが多く、その場合は建物分の消費税も0円になります。なお、仲介手数料や司法書士報酬にはいずれの場合も消費税がかかります。
仲介と買取、古家付き土地はどちらが向いているか
| 比べる点 | 仲介(買主を探す) | 買取(不動産会社が直接買う) |
|---|---|---|
| 売却価格 | 相場に近い価格を狙える | 仲介より下がる(再販コストを見込むため) |
| 期間 | 1〜6か月、場合により1年以上 | 最短数日〜1か月程度 |
| 解体・片付け | 買主の要望次第で必要になることがある | そのままの状態で引渡し可能 |
| 契約不適合責任 | 特約で免責にするのが一般的 | 免責としやすい |
| 仲介手数料 | かかる | かからない(当社が直接購入するため) |
買取が向いているのはこんなケース
「解体費用を先に出す余裕がない」「遠方に住んでいて片付けに通えない」「相続人が複数いて早く現金化して分けたい」「再建築不可で買主が見つからない」——こうした場合は買取のほうが結果的に負担が軽くなることが多くあります。ハウスドゥは家・不動産買取専門店として、古家付きのまま、残置物が残ったままの状態でも買い取りが可能です。元ヤクルトスワローズ監督・古田敦也さんをイメージキャラクターとするハウスドゥのネットワークで、茨城県内4店舗(つくば研究学園都市・県庁水戸・取手戸頭・守谷)が地域の相場を踏まえてお見積りします。
もちろん、仲介のほうが手取りが多くなる見込みであれば、正直にそうお伝えします。まずは「仲介で売った場合」「当社が買い取る場合」「解体して更地で売った場合」の3つの数字を並べてご覧になってください。
古家付き土地の売却に関するよくある質問
Q. 古家付き土地の解体費用はいくらくらいですか?
A. 本体工事の目安は、木造で坪3〜4万円、軽量鉄骨造で坪3.5〜5万円、鉄筋コンクリート造で坪5〜8万円です。30坪の木造なら90〜120万円程度が目安になります。ただしアスベストの除去、外構撤去、残置物処分、地中埋設物が加わると総額は上がります。
Q. 古家付き土地は買主が住宅ローンを組めないと聞きました。
A. 金融機関によっては、老朽化した建物が残っている状態では担保評価が下がり融資額が伸びないことがあります。その場合は「解体を条件とする売買契約」にして、誰がいつ解体費用を負担するかを契約で明確にする方法があります。現金で購入する買主であればこの問題は起きません。
Q. 市街化調整区域の古家は解体しても大丈夫ですか?
A. 慎重にご判断ください。解体すると再建築できず、土地の使い道が大きく狭まることがあります。必ず建物を残したまま、都市計画上の扱いを確認してから決めてください。
Q. 古家付き土地を売却すると消費税はかかりますか?
A. 個人の方がご自宅や相続した実家を売る場合はかかりません。土地はそもそも誰が売っても非課税で、建物についても個人の生活用資産の売却は課税対象外だからです。売主が法人や個人事業者の場合は建物部分にのみ課税されますが、建物価格を0円として契約する場合は建物分の消費税も0円になります。なお仲介手数料には消費税がかかります。
Q. 建物価格が0円なら、固定資産税も0円になりますか?
A. なりません。売買における建物の値付けと、固定資産税の評価はまったく別のものです。建物が建っている限り建物分の固定資産税はかかり続けます。一方で、建物があることで土地には住宅用地特例(200㎡以下の部分は6分の1、超える部分は3分の1)が適用され、土地の税額は抑えられています。解体するとこの特例が外れ、翌年度から土地の税額が上がる点にご注意ください。
Q. 亡くなった親がいくらで買ったか分かりません。税金はどうなりますか?
取得費を証明する書類が見つからない場合、譲渡収入金額の5%を取得費とみなす「概算取得費」という取り扱いがあります。3,000万円で売れた場合、取得費として認められるのは150万円のみとなり、税負担が大きくなります。まずは売買契約書・領収書・建築請負契約書・住宅ローンの契約書・購入時期の通帳・登記事項証明書の抵当権設定額を探してください。
Q. 取得費が5%しか使えない場合、ほかに打つ手はありますか?
相続空き家の3,000万円特別控除の要件を満たすかをご確認ください。適用できれば、取得費が概算5%でも税額がゼロになることは十分あり得ます。要件は昭和56年5月31日以前の建築、区分所有建物でないこと、相続開始直前に被相続人が一人で居住、売却代金1億円以下、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡などです。
Q. 相続空き家の3,000万円控除を使うには、売る前に解体が必要ですか?
令和6年(2024年)1月1日以後の譲渡からは、買主が譲渡の翌年2月15日までに耐震改修または取壊しをした場合でも適用できるようになりました。売主が先に解体する必要はありません。ただし相続人が3人以上の場合、控除額は一人あたり2,000万円に縮小されます。
相続した古家で最も多い落とし穴|「取得費が分からない」と税金が数百万円変わります
ここまで解体するかどうかの判断をご説明してきましたが、実務でもっとも手取りを左右するのは、じつは解体の判断ではありません。相続した古家付き土地のご相談で、私たちが真っ先に確認するのは次の一点です。
「亡くなったお父様が、その家と土地をいくらで買ったか分かる書類は残っていますか」
取得費が不明だと、売った金額の5%しか差し引けません
不動産を売ったときの税金は、ざっくり言えば「売った金額 −(取得費 + 譲渡費用)」に対してかかります。この取得費は、その不動産を買ったときの金額(建物は減価償却後)です。
ところが取得費を証明する書類が見つからない場合、譲渡収入金額の5%を取得費とみなすという取り扱いがあります。これを概算取得費といいます。一見ありがたい救済に見えますが、実際には逆です。3,000万円で売れたなら、取得費として認められるのはわずか150万円ということだからです。

上の図は、長期譲渡(税率20.315%)で特例を使わない場合の概算です。売買契約書が1枚見つかるかどうかで、およそ376万円の差が生まれています。解体費用をあれこれ節約するより、はるかに大きな金額です。
※あくまで分かりやすさを優先した目安の試算です。減価償却や各種特例、他の所得の状況によって実際の税額は変わります。適用の可否は必ず税務署または税理士にご確認ください。
まず探していただきたい書類6点
ご実家の片づけを始める前に、次の6点を探してください。片づけてしまってから「あれが必要だった」となるのが、いちばん取り返しがつきません。
| 書類 | どこにあることが多いか | 証明力 |
|---|---|---|
| 売買契約書・重要事項説明書 | 権利証と同じ封筒、仏壇の引き出し、金庫 | もっとも確実 |
| 領収書・振込の控え | 契約書と一緒に保管されていることが多い | 高い |
| 建築請負契約書 | 注文住宅の場合。建築確認済証と一緒のことが多い | 建物分の証明に有効 |
| 住宅ローンの金銭消費貸借契約書 | 金融機関の書類一式 | 借入額から推認する参考資料 |
| 通帳の記帳(購入時期のもの) | 古い通帳。金融機関に取引履歴を請求できる場合も | 支払の事実を示す参考資料 |
| 登記事項証明書の抵当権設定額 | 法務局で誰でも取得可(オンライン請求可) | 参考資料。単独では認められにくい |
正直に申し上げますと、下の3つはそれだけで実額の取得費として認められるとは限りません。市街地価格指数などから推計する方法が議論されることもありますが、認められないケースもあります。「たぶん大丈夫」で申告せず、必ず税理士にご相談ください。
取得費が出てこないときこそ、解体の判断が効いてきます
ここが本記事のテーマとつながるところです。取得費が概算5%しか使えない場合、譲渡費用をどれだけ積めるかが、数少ない打ち手になります。
建物を取り壊して土地として売る場合、その取壊し費用は譲渡費用に算入できます。茨城県内の木造住宅であれば100万円台後半になることもありますので、その全額が課税所得を圧縮する材料になるということです。取得費が150万円しかない状況では、この差は小さくありません。
ただし条件があります。土地を売るために取り壊したという実態が必要で、取壊しからおおむね1年以内に売買契約が締結されているといった事情が求められます。「とりあえず壊しておいて、売るのは数年後」では譲渡費用として認められないおそれがあるということです。順番が大切です。
相続空き家の3,000万円特別控除が使えるなら、そちらが優先です
もし相続空き家の3,000万円特別控除の要件を満たすなら、取得費の話より先にこちらを検討してください。3,000万円を控除できれば、取得費が5%しか使えなくても税額がゼロになることは十分あり得ます。
主な要件は、①昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家であること ②区分所有建物の登記がされていないこと ③相続開始の直前に被相続人が一人で住んでいたこと ④売却代金が1億円以下であること ⑤相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡であることです。制度の適用期間は2027年(令和9年)12月31日までの譲渡とされています。
そして令和6年(2024年)1月1日以後の譲渡からは、買主が譲渡の翌年2月15日までに耐震改修または取壊しをした場合でも適用できるようになりました。売主が先に自腹で解体しなくてよくなったということで、古家付き土地のまま売る選択肢が取りやすくなっています。ただし相続人が3人以上の場合、控除額は一人あたり2,000万円に縮小されます。
私たちが最初に「解体しましょう」と言わない理由
ここまでお読みいただくと、「解体する・しない」は建物の傷み具合だけで決まる話ではないとお分かりいただけると思います。取得費の書類があるか、3,000万円控除が使えるか、買主が住宅ローンを使えるか、再建築が可能か——これらの組み合わせで答えが変わります。
茨城県内の4店舗では、解体費用の見積りと、古家付き・更地それぞれで売った場合の想定価格を、同じテーブルに並べてご説明しています。数字を並べてからでなければ、この判断はできないと考えているからです。ご相談の段階で費用はいただきませんので、まずは書類探しの前にご連絡ください。片づけを始める前にお声がけいただくのが、いちばん損の少ない順番です。
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古家付き土地の売却で解体の要否を検討する際は、更地で売るべきかの判断基準や解体費用の相場もあわせてご確認ください。 古家を解体して更地で売るべき?費用・段取りと固定資産税【2026】 空き家解体費用は100万円以上?2026年最新相場と5つの節約術
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