まずはここから!空き家売却の全体像と放置するリスク
相続した実家など、空き家の売却を考え始めたものの、何から手をつければ良いのか分からず、不安に感じている方は少なくありません。空き家の売却には馴染みのない手続きが多く、戸惑うのも当然です。しかし、正しい「空き家 売却 流れ」と手順さえ理解すれば、誰でもスムーズに売却を進めることができます。
この記事では、専門家が監修した空き家 売却 流れの全ステップを分かりやすく解説し、あなたがゴールまで迷わず進めるようサポートします。
空き家売却の基本的な流れと期間
基本的な空き家売却の流れは、大きく5つのフェーズで進みます。まずはこの全体像を把握し、今後の見通しを立てましょう。
- 準備・相談フェーズ:売却の意思を固め、物件情報を整理し、不動産会社に相談する段階。
- 査定・契約フェーズ:不動産会社に物件価値を査定してもらい、売却を依頼する「媒介契約」を結ぶ。
- 売却活動フェーズ:不動産会社が広告や内覧対応を行い、購入希望者を探す。
- 売買契約フェーズ:購入希望者と条件を交渉し、正式な「売買契約」を締結する。
- 決済・引渡しフェーズ:残代金を受け取り、物件を買い主に引き渡して売却完了。
この一連の流れにかかる期間は、売却方法や物件の状況により異なりますが、一般的に不動産会社に仲介を依頼する場合、相談から引渡し完了までにおおよそ3ヶ月〜6ヶ月程度が目安です。ただし、物件の立地や状態によっては1年以上かかるケースも珍しくありません。
一方で、不動産会社が直接買い取る「買取」という方法を選択すれば、売却活動フェーズが不要になるため、最短で数週間から1ヶ月程度で現金化することも可能です。
【重要】空き家を放置し続ける3つの深刻なリスク
「まだ急がなくても…」と考えている方もいるかもしれませんが、空き家の放置には深刻なリスクが伴います。時間とともに状況は悪化し、金銭的・精神的な負担になりかねません。
1. 維持管理の手間とコストの増大
空き家は所有しているだけで、固定資産税・都市計画税、火災保険料、庭の手入れや清掃の費用などがかかり続けます。遠方であれば、様子を見に行くだけでも交通費と時間がかかります。これらの費用は、活用されていない不動産にとって「負のコスト」となり、家計を圧迫します。
2. 税金が最大6倍に?「特定空家」指定の恐怖
空き家問題の深刻化を受け、2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。この法律により、倒壊の危険性が高い、衛生上有害であるなど、問題のある空き家は**「特定空家」**に指定される可能性があります。
特定空家に指定されると、住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が最大で6倍に跳ね上がる可能性があります。さらに、自治体からの改善命令に従わない場合は50万円以下の過料が科されたり、最終的には行政代執行によって強制的に解体され、その費用が所有者に請求されるという事態も起こり得ます。
3. 資産価値の低下と近隣トラブルの火種
建物は人が住まなくなると、換気不足による湿気で急速に劣化が進みます。柱や壁が傷み、雨漏りが発生すれば、資産価値は下落する一方です。いざ売却しようとしたときには、解体しか選択肢がなくなるケースも少なくありません。
また、管理が行き届かない空き家は、不法侵入や放火、害虫・害獣の発生、庭木の越境など、近隣トラブルの原因にもなりかねません。これらのリスクを回避するためにも、空き家の売却は先延ばしにせず、適切なタイミングで行動することが重要です。

【ステップ1~4】売却の土台作り!準備から不動産会社選びまで
売却を決意したら、いよいよ具体的な空き家売却の流れに沿って行動します。しかし、いきなり不動産会社に連絡する前に、済ませておくべき重要な「準備」があります。この準備を丁寧に行うことが、空き家売却の流れをスムーズにし、手取り額を最大化する鍵となります。
ステップ1:物件の現状と権利関係を正確に把握する
売却の第一歩は、ご自身が所有する物件を正確に理解することです。物理的な状況と法律上の権利関係の2つの側面から確認しましょう。
物件の物理的な状況の確認
現地に足を運び、物件の状態を自分の目で確かめます。
- 建物の状態: 雨漏りの跡、壁のひび割れ、床の傾き、シロアリ被害の有無など。
- 土地の状況: 隣地との境界(境界標の有無)、庭木や塀の越境物の有無など。
これらの情報は査定価格に影響するため、不動産会社には正直に伝えることが大切です。
最も重要な「権利関係」の確認
特に相続で取得した空き家の場合、権利関係の確認は必須です。法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得し、以下を確認してください。
- 所有者の名義: ご自身の名義で正しく登記されているか確認します。もし亡くなった親族の名義のままなら、売却前にご自身への**相続登記(名義変更)**が必要です。
- 相続登記の義務化: 2024年4月1日から相続登記が義務化され、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。売却手続きの前提として必ず済ませておきましょう。
- 抵当権の有無: 住宅ローンが残っている場合、金融機関の「抵当権」が設定されていることがあります。売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消する手続きが必要です。
ステップ2:最適な売却方法を選ぶ(仲介 vs 買取)
空き家の売却方法には、主に「仲介」と「買取」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合った方法を選びましょう。
仲介とは? 不動産会社が売主と買主の間に入り、買主を探す販売活動を行う方法です。
- メリット: 市場価格に近い、より高い価格で売れる可能性がある。
- デメリット: 売却までに時間がかかる(平均3ヶ月〜半年以上)。内覧対応が必要。仲介手数料がかかる。建物の欠陥に対する「契約不適合責任」を負う。
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買取とは? 不動産会社が直接、買主として物件を買い取る方法です。
- メリット: スピーディーに現金化できる(最短数週間)。仲介手数料が不要な場合が多い。販売活動や内覧が不要。契約不適合責任が免除されることが多く、古い家も現状のまま売却しやすい。
- デメリット: 仲介に比べ、価格は市場価格の7~9割程度になる傾向がある。
「高く売りたい」なら「仲介」、「早く・手間なく売りたい」「建物に不安がある」なら「買取」が適しています。
ステップ3:早めに集めておきたい必要書類
売却の相談や査定をスムーズに進めるため、以下の書類を事前に準備しておくと安心です。
- 権利関係の書類: 登記済権利証 または 登記識別情報通知書
- 本人確認書類: 運転免許証、マイナンバーカードなど
- 印鑑関係: 実印、印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
- 物件情報に関する書類:
- 固定資産税納税通知書・課税明細書
- 建築確認済証、検査済証
- 物件の図面(間取り図、測量図など)
- (マンションの場合)管理規約、長期修繕計画書など
特に「登記済権利証(登記識別情報)」は再発行できない重要書類です。保管場所を必ず確認しておきましょう。
ステップ4:信頼できるパートナー(不動産会社)を見つける
空き家売却の流れを成功に導くには、どの不動産会社をパートナーに選ぶかが重要です。以下のポイントを参考に、信頼できる会社を見つけましょう。
- 空き家売却の実績: 空き家や古家の売却実績が豊富か、物件エリアでの取引経験は重要です。
- 査定の根拠が明確か: なぜその査定額なのか、周辺事例や物件の長所・短所を基に具体的に説明してくれる会社を選びましょう。
- 担当者の対応: 質問に迅速かつ丁寧に回答してくれるか、専門用語を分かりやすく説明してくれるかなど、コミュニケーションの取りやすさも重要です。
- 複数の選択肢を提案できるか: 仲介だけでなく、買取など売主の状況に合わせた複数の選択肢を提案してくれる会社は信頼できます。
まずは2~3社に査定を依頼し、査定額だけでなく、各社の対応や提案内容を比較検討することをおすすめします。

【ステップ5~8】ゴールは目前!媒介契約から確定申告までの流れ
信頼できる不動産会社を見つけたら、いよいよ具体的な売却活動が始まります。ここからは、空き家売却の流れにおける後半の4ステップを解説します。
ステップ5:媒介契約を締結する
不動産会社に正式に売却活動を依頼するため、「媒介契約」を結びます。媒介契約には3つの種類があり、ご自身の希望に合わせて選びましょう。
| 契約の種類 | 特徴 | こんな方におすすめ |
|---|---|---|
| 専属専任媒介契約 | ・契約は1社のみ ・自己発見取引不可 ・活動報告義務(週1回以上) ・レインズへの登録義務(5営業日以内) |
・1社に任せて積極的に売却してほしい ・こまめに進捗報告が欲しい |
| 専任媒介契約 | ・契約は1社のみ ・自己発見取引は可能 ・活動報告義務(2週間に1回以上) ・レインズへの登録義務(7営業日以内) |
・基本は1社に任せたいが、知人など買主候補のあてもある |
| 一般媒介契約 | ・複数社と契約可能 ・自己発見取引は可能 ・活動報告義務はない ・レインズへの登録義務はない |
・複数の会社に依頼して広く買主を探したい ・人気が見込める物件 |
※レインズ(REINS):不動産会社間で物件情報を共有するネットワークシステム。登録により買主が見つかる可能性が高まります。
どの契約形態が最適か迷う際は、不動産会社の担当者とよく相談して決定しましょう。
ステップ6:売却活動の開始と内覧対応
媒介契約後、不動産会社はウェブサイトへの掲載やチラシ配布などの売却活動を開始します。売主の役割として特に重要なのが「内覧対応」です。購入希望者に好印象を与えるため、以下のポイントを押さえましょう。
- 第一印象を良くする: 玄関をすっきりとさせ、家全体を掃除し、不要なものを片付けます。特に水回りの清潔感は重要です。
- 明るさと換気を意識する: 事前に窓を開けて換気し、照明をつけて明るい空間を演出しましょう。空き家特有の匂いをなくすだけでも印象が変わります。
- 正直な情報提供: 購入希望者からの質問には正直に答えましょう。メリットだけでなく、デメリットも伝えることが信頼につながり、後のトラブルを防ぎます。
- 当日の対応: 不動産担当者が案内を主導しますが、売主として物件の魅力(例:「この窓からの眺めが気に入っていました」)を補足すると、生活のイメージが湧きやすくなります。価格交渉など金銭に関する話は担当者に任せましょう。
ステップ7:買主と売買契約を締結する
購入希望者が見つかり、条件交渉がまとまると「売買契約」を締結します。売主・買主・不動産会社が集まり、一般的に以下の流れで進められます。
- 重要事項説明: 宅地建物取引士から、物件の権利関係や法令上の制限など、契約に関する重要事項の説明を受けます。
- 売買契約書の読み合わせ: 売買代金、手付金の額、引き渡し日などを全員で確認します。不明点は必ずこの場で解消しましょう。
- 署名・捺印: 内容に問題がなければ、売主・買主がそれぞれ署名し、実印を捺印します。
- 手付金の受領: 買主から売主へ、手付金(売買価格の5~10%程度)が支払われます。
売買契約は法的な拘束力を持ちます。安易な自己都合での契約解除は違約金が発生するため、慎重に進めることが重要です。
ステップ8:残代金の決済・物件の引き渡し、そして確定申告へ
売買契約から約1ヶ月後、空き家売却の流れにおける最終ステップ、「決済」と「物件の引き渡し」を行います。
【決済・引き渡しの流れ】
- 登記申請の準備: 司法書士が同席し、所有権移転登記の書類を確認します。
- 残代金の受領: 買主から売主の口座へ、売買代金から手付金を差し引いた残額が振り込まれます。
- 諸費用の精算: 固定資産税の清算金、仲介手数料、司法書士への報酬などを支払います。
- 鍵と関係書類の引き渡し: 全ての支払いが完了したら、物件の鍵や関係書類を買主に渡し、手続きは完了です。
これで売却は完了ですが、忘れてはならないのが翌年の「確定申告」です。売却によって利益(譲渡所得)が出た場合は、売却した翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行い、所得税・住民税を納める必要があります。
譲渡所得は「売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)」という計算式で算出します。空き家の売却には税負担を軽減できる特例があるため、これらを適用するためにも確定申告は必須です。
空き家売却の費用と税金はいくら?手元に残るお金の計算方法
「結局、手元にいくら残るのか?」は売主にとって最も気になる点でしょう。売却価格から様々な「諸費用」と「税金」が差し引かれるため、その内訳を理解しておくことが重要です。

まずは押さえたい!空き家売却にかかる「諸費用」
諸費用は売却価格の4%~6%程度が目安です。主な内訳は以下の通りです。
仲介手数料 不動産会社に支払う成功報酬です。法律で上限が定められています。
- 計算式(売却価格400万円超の場合):(売却価格 × 3% + 6万円) + 消費税
- 例:売却価格2,000万円の場合 → (2,000万円 × 3% + 6万円) + 消費税 = 72万6,000円
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印紙税 売買契約書に貼付する印紙代です。契約金額によって税額が異なります。
- 1,000万円超 5,000万円以下:1万円
- 5,000万円超 1億円以下:3万円 ※税額は契約日時点の法令に基づきます。
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登記費用 住宅ローンの抵当権抹消登記や、相続登記が必要な場合に発生します。司法書士への報酬と登録免許税がかかり、数万円~十数万円が目安です。
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その他の費用 物件の状況に応じて、以下の費用が発生することがあります。
- **建物の解体費用:**更地で売る場合(木造で1坪あたり4~5万円が目安)
- **測量費用:**土地の境界が不明確な場合(35万円~80万円程度)
- **遺品整理・ハウスクリーニング費用:**家財が残っている場合
利益にかかる「税金」の計算方法
空き家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、所得税と住民税が課税されます。
譲渡所得の計算式: 譲渡所得 = 売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)
- **取得費:**その空き家の購入代金や購入時の諸費用。不明な場合は売却価格の5%を「概算取得費」とします。
- **譲渡費用:**今回の売却でかかった費用で、主に仲介手数料や印紙税が該当します。
譲渡所得がプラスになった場合、所有期間によって以下の税率が適用されます。
- **長期譲渡所得(所有期間5年超):**税率 20.315%
- **短期譲渡所得(所有期間5年以下):**税率 39.63% ※所有期間は、売却した年の1月1日時点で判断します。
【節税の鍵】空き家売却の3,000万円特別控除とは?
相続した空き家売却の流れにおいて、税負担を大幅に軽減できる可能性があるのが「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」、通称「空き家特例」です。この特例を適用できれば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。譲渡所得が3,000万円以下なら税金はゼロになります。
ただし、適用には非常に細かな要件があります。
主な適用要件(一部抜粋)
- 相続によって取得した家屋であること。
- 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
- 相続開始直前まで被相続人が一人で暮らしていたこと。
- 相続から売却まで事業・貸付・居住用に使われていないこと。
- 売却代金が1億円以下であること。
- 家屋を耐震リフォームして売るか、更地にして土地を売ること。
- 相続開始の日から3年を経過する年の12月31日までに売ること。
この特例は適用要件が複雑なため、適用を検討する場合は税務署や税理士、不動産の専門家によく相談することが不可欠です。
「売れないかも…」と諦める前に!空き家の状態別・最適な売却戦略
「築年数が古すぎる」「家財道具が山積み」といった問題を抱え、売却を諦めてしまう方も少なくありません。しかし、どのような状態の空き家でも、適切な対処法と売却戦略があります。
築年数が古い、傷みが激しい空き家はどうする?
このような状態の空き家を売却するには、主に3つの選択肢があります。
- リフォームして売る: 費用対効果を考え、雨漏り修繕など最低限の補修に留めるのが賢明です。
- 建物を解体して更地で売る: 立地が良い場合に有効ですが、解体費用がかかります。また、建物を解体すると固定資産税が最大6倍になる可能性があるため、不動産会社と相談しタイミングを見計らうことが重要です。
- 現状のまま売る: 手間や費用はかかりませんが、買主が見つかりにくい場合があります。後々のトラブルを避けるため、物件の欠陥については正直に伝える必要があります。




