目次
  1. 相続した実家をどうする?「被相続人居住用家屋の特例」が節税のカギ
    1. 「被相続人居住用家屋の3,000万円特別控除」の概要
  2. 【適用要件を4つの視点で整理】3,000万円特別控除(空き家特例)が使える条件
    1. 要件1:誰が売るのか?(対象となる相続人)
    2. 要件2:どんな家が対象?(対象となる家屋の条件)
    3. 要件3:いつまでに、いくらで売る?(売却期限と売却額)
    4. 要件4:どんな状態で売る?(売却時の家の状態)
  3. その売却、特例の対象外かも?適用できない7つのケースと注意点
  4. ケース1:被相続人が老人ホーム等に入居していた
    1. ケース2:相続人が複数いて共有名義で売却した
    2. ケース3:売却期限を過ぎてしまった
    3. ケース4:親子や夫婦間など特別な関係者へ売却した
    4. ケース5:相続した家屋や敷地の一部だけを売却した
    5. ケース6:マンション(区分所有建物)の敷地利用権のみを売却した
    6. ケース7:相続開始前に相続人が同居していた
  5. 特例を受けるための手続きと必要書類
    1. 特例適用の全体フロー
  6. STEP1:不動産会社へ相談・売却方針の決定
    1. STEP2:売却活動と売買契約の締結
    2. STEP3:「被相続人居住用家屋等確認書」の取得申請
    3. STEP4&5:確定申告の準備と実行
  7. 相続した実家を円滑に売却するコツ
    1. 「仲介」と「買取」それぞれのメリット・デメリット
    2. 相続した空き家の売却に「買取」が有効なケースとは
    3. 特例の知識とワンストップ対応が不動産会社選びの鍵
  8. 被相続人居住用家屋に関するよくある質問(FAQ)
    1. Q1. 兄弟2人で実家を相続して売却しました。控除額はどうなりますか?
    2. Q2. 被相続人が亡くなる前に老人ホームへ入所していましたが、特例は使えますか?
    3. Q3. 家を解体して更地で売却した場合、解体費用は経費にできますか?
    4. Q4. 相続税の申告と、この特例を使う確定申告は関係がありますか?
    5. Q5. 売却期限までに買主が見つかりませんでした。もう特例は使えませんか?
  9. 特例を正しく理解し、計画的な売却を

相続した実家をどうする?「被相続人居住用家屋の特例」が節税のカギ

親が亡くなり、大切に住んでいた実家を相続したものの、活用方法に悩む方は少なくありません。空き家のままでは固定資産税や維持費がかさみ、管理の手間も大きな負担です。いざ売却を考えても、売却益にかかる税金が心配になるものです。

こうした悩みを解決するため、国は相続した実家、すなわち「被相続人居住用家屋」の売却に関する税金の特例を設けています。それが「被相続人居住用家屋を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」、通称「空き家特例」です。

この特例を活用すれば、実家を売却して得た利益(譲渡所得)から最大3,000万円を控除でき、納める税金を大幅に、場合によってはゼロにすることも可能です。

この記事では、相続した実家の売却を検討している方のために、この3,000万円特別控除の適用要件や手続き、注意点をわかりやすく解説します。

「被相続人居住用家屋の3,000万円特別控除」の概要

項目 概要
特例の名称 被相続人居住用家屋を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例(通称:空き家特例)
控除額 譲渡所得から最大3,000万円
対象となる不動産 相続または遺贈により取得した被相続人(亡くなった方)の居住用家屋とその敷地
主な適用要件(共通) ① 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(旧耐震基準)
② 相続開始の直前まで被相続人が一人で居住していたこと
③ 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
④ 売却代金が1億円以下であること
⑤ 親子や夫婦など特別な関係にある人への売却ではないこと
売却方法の要件 以下のいずれかの方法で売却する必要があります。
家屋をそのまま売却する場合: 現行の耐震基準を満たすこと(耐震リフォームが必要)
家屋を取り壊して土地のみを売却する場合: 更地にしてから譲渡すること
適用期限 令和9年(2027年)12月31日までの譲渡

※上記は概要であり、適用にはさらに詳細な要件があります。

この特例を正しく理解し、賢く活用するために、詳しい内容を一つひとつ見ていきましょう。

【適用要件を4つの視点で整理】3,000万円特別控除(空き家特例)が使える条件

「被相続人居住用家屋の特例」は、最大3,000万円もの所得控除が受けられる強力な制度ですが、適用には細かい要件をすべて満たす必要があります。ここでは、適用要件を「誰が」「どんな家を」「いつ・いくらで」「どんな状態で」売るのか、4つの視点から整理します。

要件1:誰が売るのか?(対象となる相続人)

まず、この特例を使えるのは、相続または遺贈によって家屋と敷地を取得した「個人」です。法人は対象外となります。また、以下の重要な条件があります。

  • 相続開始の直前において、被相続人(亡くなった方)以外に居住していた人がいなかったこと 原則として、亡くなった方が一人暮らしをしていた家屋が対象です。相続人が同居していた場合は、この特例ではなく「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用できる可能性があります。

【ポイント】被相続人が老人ホーム等に入所していた場合 亡くなる直前に老人ホームなどに入所していた場合でも、以下の要件を満たせば特例の対象となる可能性があります。

  1. 被相続人が要介護認定や要支援認定を受けていたこと。
  2. 相続開始の直前まで、その家屋を老人ホーム等への入所以外の用途(賃貸など)に使っていなかったこと。
  3. 入所後、家財道具などが保管され、いつでも戻れる状態が維持されていたこと。

要件2:どんな家が対象?(対象となる家屋の条件)

次に、特例の対象となる家屋自体の条件です。

  • 相続開始の直前において、被相続人が居住していた家屋であること 別荘や賃貸物件など、事業用・貸付用の不動産は対象外です。
  • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋であること いわゆる「旧耐震基準」で建てられた建物が対象です。建築確認日がこの日付以前であることが求められます。
  • 区分所有建物(マンションなど)でないこと 原則として一戸建てが対象であり、マンションの一室などは対象外となります。
  • 相続時から譲渡時まで、事業・貸付・居住の用に供されていないこと 相続してから売却するまでの間、ずっと「空き家」の状態であることが必要です。一時的にでも誰かに貸したり、自身が住んだりすると対象外になるため注意が必要です。

要件3:いつまでに、いくらで売る?(売却期限と売却額)

売却のタイミングと金額にも厳格なルールがあります。

  • 売却期限:相続開始のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで 例えば2023年4月1日に相続が発生した場合、3年後の2026年4月1日が属する年、つまり2026年12月31日までに売却(引き渡し)を完了させる必要があります。期限は意外と短いため、計画的な行動が重要です。
  • 売却額:譲渡対価の額が1億円以下であること 売却価格が1億円を超えると、この特例は一切適用できません。複数の相続人で共有している不動産を売却する場合は、全員の売却価格の合計額で判断されます。例えば、兄弟2人がそれぞれ6,000万円(合計1億2,000万円)で売却した場合、合計額が1億円を超えるため2人とも特例は使えません。

要件4:どんな状態で売る?(売却時の家の状態)

最後に、最も重要かつ複雑なのが「売却時の家の状態」に関する要件です。以下のいずれかのパターンを満たす必要があります。

  1. 家屋をそのまま売る(耐震リフォームを実施) 相続した家屋に現行の耐震基準を満たすための耐震リフォーム工事を行い、家屋と敷地の両方を売却するパターンです。

  2. 家屋を取り壊して更地で売る 相続した家屋を取り壊して更地にし、その敷地のみを売却するパターンです。家屋を取り壊してから売却するまでの間、その土地を駐車場などで貸し出していないことが条件です。

  3. 【令和6年1月1日以降の譲渡から適用】家屋を現状のまま売り、買主がリフォームまたは解体する 法改正により追加された選択肢です。家屋を現状のまま買主に売却し、売却した年の翌年2月15日までに買主が耐震リフォームまたは家屋の取り壊しを行うパターンです。売主の費用負担を軽減できますが、買主の協力が不可欠となります。

これらの要件をすべてクリアして初めて、3,000万円の特別控除を適用できます。

その売却、特例の対象外かも?適用できない7つのケースと注意点

適用要件を満たしているように見えても、思わぬ理由で対象外となることがあります。ここでは、特に注意すべき7つのケースを解説します。

被相続人居住用家屋 - 1

ケース1:被相続人が老人ホーム等に入居していた

「亡くなる直前は老人ホームに入っていた」というケースは多いですが、特例を適用するには厳格な要件があります。

  • 被相続人が要介護認定または要支援認定を受けていたこと。
  • 入所以降、その家屋を事業用、貸付用、または他人の居住用として使わせていなかったこと。
  • 入所以降、家財道具などが保管され、いつでも居住できる状態が維持されていたこと。

これらの要件をすべて満たす必要があります。短期間でも駐車場として貸したりすると適用外となるため注意が必要です。

ケース2:相続人が複数いて共有名義で売却した

兄弟姉妹などで不動産を共同相続した場合、特例は相続人ごとに判断されますが、注意点が2つあります。

  1. 売却価格の合計が1億円を超える 上限1億円は、共有者全員の売却価格の合計額で判断されます。不動産全体の売却価格が1億円を超えれば、共有者全員が特例を使えません。

  2. 特例の要件を満たさない共有者がいる 共有者の中に、特例の要件を満たさない人(例:被相続人の甥や姪)がいる場合、その人は対象外となります。

共有名義で売却する際は、事前に相続人全員で特例適用の可否を確認することが不可欠です。

ケース3:売却期限を過ぎてしまった

特例には、「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」という厳格な売却期限があります。相続手続きや遺産分割協議、売却活動には想像以上に時間がかかるため、売却を決めたら速やかに計画を立てて進めることが重要です。

ケース4:親子や夫婦間など特別な関係者へ売却した

この特例は、親子、夫婦、生計を同一にする親族、同族会社など、特別な関係にある個人や法人への売却には適用できません。これは不当な税金逃れを防ぐための規定で、第三者への公正な価格での売却が前提です。

ケース5:相続した家屋や敷地の一部だけを売却した

特例の対象は、原則として被相続人居住用家屋とその敷地等を一体として売却する場合です。「土地が広いから半分だけ売る」といった敷地の一部の売却や、家屋を残して土地だけを売却するケース(取り壊した場合を除く)は、基本的に対象外です。

ケース6:マンション(区分所有建物)の敷地利用権のみを売却した

被相続人が住んでいた家がマンションの場合も特例の対象となり得ますが、家屋(専有部分)と敷地利用権を分離して、敷地利用権のみを売却するようなケースは対象外です。

ケース7:相続開始前に相続人が同居していた

この特例は主に「空き家」の流通促進を目的としているため、相続開始前から被相続人と相続人が同居していた場合、その家は「空き家」とはみなされず、原則として対象外となります。ただし、二世帯住宅で構造上・利用上完全に独立しているなど、例外的に適用が認められるケースもあるため、税務署や税理士への事前確認が賢明です。

特例を受けるための手続きと必要書類

この特例は自動的に適用されるものではなく、自身で必要書類を揃え、期限内に確定申告を行う必要があります。ここでは、手続きの全体像と各ステップを解説します。

特例適用の全体フロー

大まかな流れは以下の5つのステップで構成されます。

  1. 不動産会社へ相談・売却方針の決定
  2. 売却活動と売買契約の締結
  3. 「被相続人居住用家屋等確認書」の取得申請
  4. 物件の引き渡しと確定申告の準備
  5. 税務署へ確定申告

被相続人居住用家屋 - 2

STEP1:不動産会社へ相談・売却方針の決定

まずは相続不動産の売却実績が豊富な不動産会社に相談し、特例適用の見込みを確認します。物件の査定を依頼し、売却価格が1億円以下に収まるかを確認します。 また、以下のどちらの方針で売却するかを決定します。

  • 家屋をそのまま(耐震基準を満たして)売却する
  • 家屋を解体して更地として売却する

どちらを選ぶかによって後の手続きや必要書類が変わるため、専門家と相談しながら最適な方針を固めることが大切です。

STEP2:売却活動と売買契約の締結

売却方針が決まったら、不動産会社と媒介契約を結び、売却活動を開始します。買主が見つかり、条件がまとまったら売買契約を締結します。この売買契約書は確定申告で必要になるため、大切に保管してください。 売却期限は相続開始から3年を経過する年の12月31日までです。早めに動き出すことが重要です。

STEP3:「被相続人居住用家屋等確認書」の取得申請

特例の申請に不可欠なのが「被相続人居住用家屋等確認書」です。この確認書がなければ特例は受けられません。

  • 申請先: 売却した家屋の所在地を管轄する市区町村役場

  • 申請時期: 原則、物件の引き渡し日以降(自治体によるため要確認)

  • 主な必要書類: 売却パターンによって異なりますが、代表的なものは以下の通りです。必ず事前に管轄の役所にご確認ください。

    • 【共通】
      • 確認申請書、被相続人の除票住民票の写し、申請者(相続人)の住民票の写し、売買契約書の写し など
    • 【家屋をそのまま売却した場合】
      • 耐震基準適合証明書 または 既存住宅売買瑕疵保険への加入を証する書類
    • 【家屋を解体して売却した場合】
      • 家屋の閉鎖事項証明書、解体工事の請負契約書・領収書の写し、解体前後の写真 など

申請から発行まで1〜2週間程度かかるため、余裕を持って申請しましょう。

STEP4&5:確定申告の準備と実行

物件の引き渡しが完了し、「被相続人居住用家屋等確認書」を取得したら、最終ステップである確定申告です。不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日までに、管轄の税務署へ申告します。

【確定申告の主な必要書類】

  1. 確定申告書B
  2. 譲渡所得の内訳書
  3. 被相続人居住用家屋等確認書(原本)
  4. 売却した不動産の登記事項証明書
  5. 売買契約書の写し(売却時・購入時)
  6. 譲渡費用がわかる領収書の写し(仲介手数料、印紙税、解体費用など)
  7. 【耐震リフォームした場合】リフォーム費用の領収書の写し、耐震基準適合証明書など

書類が多く計算も複雑なため、手続きが不安な場合は税理士への相談も有効です。

相続した実家を円滑に売却するコツ

3,000万円の特別控除を活用し、円滑に売却を完了させるには、信頼できる不動産会社をパートナーに選ぶことが重要です。

「仲介」と「買取」それぞれのメリット・デメリット

不動産の売却方法には「仲介」と「買取」の2種類があります。

【仲介】不動産会社が買主を探す方法

  • メリット: 市場価格に近い、できるだけ高い価格での売却が期待できる。
  • デメリット: 売却までに時間がかかる傾向があり、いつ売れるか不確定。売却後の契約不適合責任を負うリスクがある。

【買取】不動産会社が直接買主になる方法

  • メリット: スピーディーに現金化できる。仲介手数料が不要。建物の状態を問わず「現状のまま」売却でき、契約不適合責任も免責される。
  • デメリット: 売却価格は仲介に比べて市場価格の7〜8割程度になる傾向がある。

相続した空き家の売却に「買取」が有効なケースとは

長年空き家になっていた実家や、管理が難しい状態の相続不動産の場合、「買取」が有効な選択肢となることがあります。

  • すぐに現金化して相続人で分配したい
  • 建物が古く、リフォームや解体に多額の費用がかかる
  • 遠方に住んでおり、管理や内覧対応が難しい
  • 近所に知られずに売却したい
  • 売却後のトラブル(契約不適合責任)を避けたい

「買取」は、これらの手間やコスト、将来的なリスクをまとめて解消し、迅速かつ確実に売却を完了させる方法です。

特例の知識とワンストップ対応が不動産会社選びの鍵

被相続人居住用家屋の特例を適用するには、不動産会社がこの特例に関する深い知識を持っているかが重要です。信頼できる不動産会社は、特例の適用を見据えた最適な売却プラン(仲介か買取か、解体するか否かなど)を提案してくれます。

また、相続不動産の売却は、税理士、司法書士、土地家屋調査士など多くの専門家との連携が不可欠です。これらの専門家と連携し、売却から各種手続きまでサポートできる体制を持つ不動産会社を選ぶことで、相続人の負担は大幅に軽減されます。

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被相続人居住用家屋に関するよくある質問(FAQ)

被相続人居住用家屋の特例に関してよくある質問にQ&A形式で答えます。

Q1. 兄弟2人で実家を相続して売却しました。控除額はどうなりますか?

A1. 要件を満たせば、それぞれが最大3,000万円の控除を受けられます。 この特例は、1人あたり最大3,000万円まで控除できる制度です。兄弟2人がそれぞれ適用要件を満たしていれば、合計で最大6,000万円の控除が可能です。ただし、控除額は各自の譲渡所得が上限となります。例えば、各自の譲渡所得が2,000万円であれば、控除額も2,000万円ずつとなります。

Q2. 被相続人が亡くなる前に老人ホームへ入所していましたが、特例は使えますか?

A2. 一定の要件を満たせば、特例を適用できる可能性があります。 被相続人が要介護認定などを受け、介護目的でやむを得ず家を離れた場合で、かつ、その家がその後も貸し出されることなく空き家状態だったことが証明できれば、特例の対象となる可能性があります。いつでも戻れる状態だったことが重要です。

Q3. 家を解体して更地で売却した場合、解体費用は経費にできますか?

A3. はい、譲渡費用として売却益から差し引くことができます。 家屋の解体費用は、不動産を売却するために直接かかった費用、すなわち「譲渡費用」として認められます。譲渡所得は「売却価格 − (取得費 + 譲渡費用)」で計算されるため、解体費用を計上することで課税対象額を圧縮でき、節税につながります。契約書や領収書は必ず保管してください。

Q4. 相続税の申告と、この特例を使う確定申告は関係がありますか?

A4. 全く別の税金に関する手続きですが、併用できない制度があるため注意が必要です。 相続税は「財産を相続したこと」に対する税金、この特例は「不動産を売却した利益(所得税)」に関する制度です。注意点として、相続税の申告で「取得費加算の特例」を使った場合、この「被相続人居住用家屋の3,000万円特別控除」との併用はできません。どちらが有利かは状況によるため、税理士などの専門家への確認が必要です。

Q5. 売却期限までに買主が見つかりませんでした。もう特例は使えませんか?

A5. 期限内に「売買契約」が締結されていれば、特例の対象となる可能性があります。 原則として、期限日までに買主への引き渡しまで完了していることが望ましいです。しかし、期限内に売買契約を締結したものの、買主側の事情で引き渡しが翌年になった場合など、例外的に特例が認められるケースがあります。ただし、確実性を期すためには、期限に余裕を持った売却活動を開始することが何よりも重要です。

特例を正しく理解し、計画的な売却を

「被相続人居住用家屋の3,000万円特別控除」は、相続した実家の売却時に税負担を大幅に軽減できる非常に強力な制度です。この特例を知っているか、使えるかで、手元に残る金額が大きく変わることも少なくありません。

しかし、その適用を受けるためには、数多くの複雑な要件をクリアする必要があります。特に、「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」という厳格な適用期限は、延長が一切認められないため注意が必要です。

煩雑な相続手続きと並行して、これらの専門的な要件をすべて正確に確認し、期限内に売却を完了させるには、計画的な準備が不可欠です。万が一、要件の解釈を間違えれば、本来支払う必要のなかった多額の税金が発生するリスクもあります。

相続した実家の売却を考える際は、この特例の内容を正しく理解し、ご自身の状況が要件を満たすか慎重に確認することが重要です。